特許出願件数 業界別ランキング2026|データが語る技術投資マップ

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特許出願件数 業界別ランキング2026|データが語る技術投資マップ

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特許出願件数の業界別ランキングは、単なる成績表ではなく「次の5〜10年でどの技術が伸びるか」の予告編です。2024〜2025 年の数字が語る 3 つの事件を先に押さえておくと、業界別ランキングの読み方が変わります。

  • PCT で Digital communication が Computer technology を初めて逆転(+9.9% vs -6.0%)。6G 時代の到来がまず数字に現れました
  • 中国の生成AI 特許が米国の 6 倍(38,210件 vs 6,276件)。日本は 3,409件で、中国の 1/11 という位置
  • 世界特許グラントの 49.5% が中国(2014 年 34.6% から急伸)。ただし CNIPA 自身が「量から質へ」の転換を宣言済み

WIPO は Computer technology が首位、USPTO は半導体、EPO は Computer が史上初の首位、JPO は総出願 358,317 件(+16.8%)で AI 関連発明 93,165 件、CNIPA は発明特許 grant 初の 100 万件超え。5 極の TOP5 を並べると、それぞれの土地柄がくっきり浮かびます。

日本は「原子(物質・素材)」を扱う領域では圧勝(全固体電池でトヨタ 1,300件超、フォトレジスト 87〜91%、シリコンウエハ 53%、MLCC 村田 40%)、「ビット(AI・SaaS・クラウド)」では構造的劣位、というのが業界別データが示す構造です。

この読み解きを月曜日の朝から R&D 投資判断に翻訳するには、CPC/IPC で業界を定義 → ベースラインを描く → 週次デルタ検知 → 引用グラフで早期シグナル抽出 → R&D 効率スコアと重ねる → 経営企画・知財・IR・アナリストで別切り口の運用、の 6 ステップです。Snorbe のようなナレッジグラフ型 AI リサーチエージェント(https://lp.deskrex.ai/)を軸に据えると、この運用が現実的な工数で回せます。

  1. 世界の特許ランキング2026が示す3つの「事件」
    1. 事件1 PCTで「デジタル通信」が「コンピュータ技術」を初めて逆転した
    2. 事件2 中国の生成AI特許が米国の6倍という現実
    3. 事件3 世界特許グラントの半分が中国
  2. 業界別特許出願ランキング2026 TOP5 — WIPO/USPTO/EPO/JPO/CNIPAの数字
    1. WIPO 世界ランキング — 10年で1位に変化なし、でも中身は加速
    2. USPTO 米国 — 半導体3年連続首位、AI4年連続増
    3. EPO 欧州 — Computer technologyが史上初の首位に
    4. JPO 日本 — 2025年に総出願+16.8%の急伸、AI関連発明93,165件
    5. CNIPA 中国 — 発明特許グラントが初の100万件超
    6. 5極を並べると見える「土地柄」
  3. 業界別ランキングの背景 — なぜこの順位なのか
    1. AI/生成AI — 中国が世界の60%、日本は米国の半分
    2. 6G/NTN/O-RAN — 中国が世界の40.3%、5G成熟後の主戦場
    3. 半導体・先端パッケージング — TSMCが累計10万件超、Intelが後退
    4. EV/全固体電池 — 日本がリードする最後の車格分野
    5. Medical/mRNA/遺伝子治療 — 訴訟ラッシュと大学発の質重視
    6. 量子 — 副市場で王者が違うという特殊構造
  4. 日本の位置づけ — 「原子」で勝ち「ビット」で負けるという構造
    1. 「原子」で圧勝している日本 — 世界インフラの裏方を握る
    2. 「ビット」で負けている日本 — 生成AIで中国の1/11
    3. JPO 2025年 内国人トップ10 — トヨタが+35%でキヤノンを抜いて首位
    4. IP5比較 — 日本は3位を維持しつつ、中国の1/6規模
    5. AI関連発明93,165件の「見方」 — WIPOのGenAI3,409件との違い
  5. 業界別ランキングをR&D投資マップに翻訳する6ステップ
    1. Step1: 業界をCPC/IPCで定義する
    2. Step2: ベースラインlandscapeを作る
    3. Step3: 週次・月次のデルタ検知を仕込む
    4. Step4: 引用グラフで早期シグナルを抽出する
    5. Step5: R&D効率スコアと重ねる
    6. Step6: 経営企画・知財・IR・アナリストで別切り口の運用を作る
    7. Snorbeの位置づけ — AIリサーチエージェントによる継続監視の新しい選択肢
    8. 月曜日から試せる3つの問い
  6. よくある質問(FAQ)
    1. Q1. 特許出願件数の業界別ランキングとは何ですか?
    2. Q2. どの一次ソースを見ればいいですか?
    3. Q3. 中国が世界特許の半分は本当ですか?
    4. Q4. 日本は業界別ランキングでどこに位置していますか?
    5. Q5. AI特許で日本が中国の1/11なのはなぜですか?
    6. Q6. 全固体電池でトヨタが強いのはなぜですか?
    7. Q7. 業界別ランキングを実務でどう使えばいいですか?
    8. Q8. AIエージェントで技術投資マップを描く方法は?
  7. 調査手法について

世界の特許ランキング2026が示す3つの「事件」

世界の特許ランキング2026が示す3つの事件

「特許出願件数の業界別ランキング」と聞くと、どうしても「1位◯◯、2位◯◯」と順位を眺めるだけで終わってしまいがちです。でも実は、業界別ランキングの数字は「これから何が起きるか」を予言しています。ここでは 2024〜2025 年の数字が示す 3 つの事件を、まず結論から見ていきます。

事件1 PCTで「デジタル通信」が「コンピュータ技術」を初めて逆転した

2019 年以来ずっと PCT 国際出願のトップだった Computer technology(コンピュータ技術)を、2024 年に Digital communication(デジタル通信)が初めて追い越しました。Computer technology が -6.0% の一方で、Digital communication は +9.9% の伸び[WIPO PCT Yearly Review 2025 Executive Summary]

PCT というのは、1 回の出願で 150 カ国以上に効力が及ぶ「国際特許出願」の仕組みで、企業が「世界でこの技術を守りにいきます」と本気で宣言する場です。ここでの逆転は、5G が成熟して 6G の準備が動き出したことを意味します。実際、2025 年の速報では Digital communication がさらに +6.1% 伸び、EPO でも 2025 年に Digital communication が +11.4% と急伸[EPO 2025 Demand for European patents]しました。

読み方はシンプルです。「6G が動き出した」というシグナルが、まず PCT のランキングに表れて、次に EPO・USPTO に波及するタイミングに私たちは立っています。R&D 投資の重心を通信インフラ側にどう振り替えるか、経営会議の議題に上げる頃合いだと考えています。

事件2 中国の生成AI特許が米国の6倍という現実

WIPO が 2024 年 7 月に発表した「Generative AI 特許ランドスケープレポート」で、地図が塗り替わりました。2014〜2023 年の 10 年間で公開された生成AI 関連の発明件数は、中国 38,210 件に対して米国が 6,276 件。中国が米国の約 6 倍という圧倒的な差になっています[WIPO GenAI PLR press release]

日本はどうか。3,409 件で世界 4 位相当ですが、中国の 1/11、韓国 4,155 件にも及ばず、そして GenAI 特許出願人トップ 10 に日本企業は 1 社も入っていません[UN News]。トップ 10 の内訳は Tencent、Ping An Insurance、Baidu、Chinese Academy of Sciences、IBM、Alibaba、Samsung、Alphabet、ByteDance、Microsoft の順で、7 社が中国勢という顔ぶれです。

これは単純に「日本が負けている」というだけの話ではありません。日本の R&D 投資が「原子(物理・素材)」に厚く、「ビット(AI・SaaS)」に薄いという構造そのものを映しています。この構造は後のセクションで詳しく分解しますが、まずは「業界別ランキングは日本の産業構造を裸で見せる鏡」だという感覚を持っていただければと思います。

事件3 世界特許グラントの半分が中国

WIPO の 2025 年集計では、アジアが世界の特許グラントの 71.1% を占め、中国単独で 世界の 49.5% に達しました。2014 年の 34.6% から 10 年で 15 ポイント伸びた計算です[WIPO IP Facts and Figures 2025]。CNIPA(中国国家知的財産局)の 2024 年 発明特許グラントは、初の 100 万件超え(1,045,000 件、+13.5%)です[Nat Law Review CNIPA 2024]

ただ、この「量」を単純に受け取ると読み間違えます。CNIPA 自身が「量から質への転換」を公式に宣言しており、実用新案登録件数は 2021 年ピークの 312 万件から 2024 年 201 万件へ -36% 減少[Nat Law Review 2024 Filing Stats]。中国の「量爆」フェーズは終わりに近づいています。

つまり、業界別ランキングを件数だけで語るのは初学者の読み方です。件数 + 質(Patent Asset Index)+ 引用ネットワークで見て、初めて「技術投資マップ」として使えるデータになる。これがこの記事全体を貫く読み方の方針です。


3 つの事件を並べると、業界別ランキングを追いかける意味が見えてきます。次のセクションでは、WIPO・USPTO・EPO・JPO・CNIPA の 5 極それぞれで「業界別 TOP5」を分解していきます。5 つの特許庁の TOP5 を並べるだけで、その国が今どこに R&D を張っているかの土地柄がくっきり浮かびます。

業界別特許出願ランキング2026 TOP5 — WIPO/USPTO/EPO/JPO/CNIPAの数字

WIPO/USPTO/EPO/JPO/CNIPA 5極の業界別ランキング

5 つの主要特許庁の「業界別ランキング」を並べると、それぞれの土地柄が浮かびます。WIPO は Computer technology が首位、USPTO は半導体、EPO は Computer が史上初の首位、JPO は自動車と AI が伸び、CNIPA は AI と電池で圧倒。ここでは 2024〜2025 年の一次データを 5 極分並べます。

WIPO 世界ランキング — 10年で1位に変化なし、でも中身は加速

WIPO が 2025 年 11 月に発表した World Intellectual Property Indicators 2025 では、2023 年の世界特許公開ベースで技術分野 TOP5 が以下の通りです[WIPI 2025 Patents Highlights]

順位 技術分野 シェア 10年成長率(2013–2023)
1 Computer technology 13.2% +10.3% 年率
2 Electrical machinery 7.2%
3 Measurement 6.2% +7.2%
4 Digital communication 5.8% +6.6%
5 Medical technology 4.9%

TOP5 の顔ぶれは 2012 年からずっと同じですが、TOP5 合計シェアは 2013 年の 28.8% から 2023 年 37.4% に拡大。集中度が上がっています。Computer technology だけが年率二桁成長を維持していて、AI ブームがそのまま数字に効いている構図です。

PCT 国際出願(1 回の出願で世界に効力が及ぶ枠組み)で見ると、事件 1 で紹介したように 2024 年から Digital communication が首位に立ちました。総件数 273,900 件(+0.5%)、Digital communication 10.5%(+9.9%)、Computer technology 9.7%(-6.0%)、Electrical machinery 8.6%(+8.0%)、Medical technology 6.5%、Measurement 4.4%[PCT Yearly Review 2025]

USPTO 米国 — 半導体3年連続首位、AI4年連続増

USPTO の 2024 年 utility patent 出願は 430,625 件(+3%)で過去最高、grant は 324,043 件(+3.8%)。技術分野別のグラント数を見ると、半導体が突出しています[Anaqua USPTO 2024]

  • 半導体(Semiconductor): 67,118 件(3 年連続首位、2021 年 49,831 件から着実に増)
  • AI(Artificial Intelligence): 54,022 件(4 年連続増、2020 年 34,544 件から 1.56 倍)
  • Medical-related: 53,648 件(+76.3% の急伸)
  • 5G: 44,657 件(前年 55,263 件から減)
  • Virtual Reality: 42,559 件(前年 57,252 件から減)

特筆すべきは Generative AI で、2024 年に 51,000 件出願/24,880 件grant。10 年前の 2014 年は 1,000 件未満だったので、10 年で 50 倍超という規模感です[Rapacke AI Patents by Country]

国別 USPTO grants(2024 暦年)は、米国 157,955 件(-2.8%)、日本 44,656 件(+9%)、中国 38,775 件(+33.8%)、韓国 25,891 件(+7.6%)、ドイツ 15,420 件(+10.9%)。中国の伸び +33.8% が突出していて、5 年前後で日本と並ぶペースです。企業別では Samsung が 10,427 件で 3 年連続首位、次いで TSMC 4,127 件(+19.9%)、LG 3,987 件(+20.1%)、Qualcomm 3,474 件、Apple 3,437 件[Digital Science IFI 集計]

EPO 欧州 — Computer technologyが史上初の首位に

EPO Patent Index 2024 では、総出願件数が 199,264 件(-0.1%)でほぼ横ばい。ただし技術分野の中身は「事件」でした。Computer technology 16,815 件(+3.3%)が、2000 年代から首位を守ってきた Medical technology を抜いて 史上初の首位 に立ちました[IPWatchdog EPO Patent Index 2024]

  • 1位 Computer technology: 16,815 件(+3.3%)
  • 2位 Electrical machinery, apparatus and energy: 16,142 件(+8.9%)※電池分野は +24% で全カテゴリー最速
  • 3位 Digital communication: 15,983 件(-6.3%)※5G 成熟によるピーク後退
  • 4位 Medical technology: 15,701 件(-3.0%)
  • 5位 Transport: 10,026 件(+3.5%)

国別出願 TOP5 は米国 47,787 件、ドイツ 25,033 件、日本 21,062 件(-2.4%)、中国 20,081 件(+0.5%、過去最高)、韓国 13,107 件(+4.2%)。中国の EPO 電池特許は +79% の急増で、CATL・Eve Energy・BYD・Zhuhai CosMX の 4 社が TOP15 に入りました[EPO Patent Index 2024 press]

さらに 2025 年速報では EPO の Digital communication が +11.4%、うち韓国 +22.1%、米国 +23.5% と 6G 時代の到来を示すシグナルが強くなっています[EPO 2025 Demand for European patents]

JPO 日本 — 2025年に総出願+16.8%の急伸、AI関連発明93,165件

JPO の 2025 年速報値では、総出願件数が 358,317 件(+16.8%) と、10 年ぶりの急伸となりました[JPO Status Report 2026]。2024 年は 306,855 件(+3.6%)、そこから一気に 5 万件以上増えた計算です。生成AI・EV 電池関連の技術開発ラッシュが要因と推定されます。

IPC セクション別の伸び率(2019 → 2023、内国人出願)を見ると、産業構造の転換が読み取れます。

セクション 分野 増減率(2019→2023)
A 生活必需品(医療・食品) +9.3%
G 物理学(計算・測定・光学) +2.9%
F 機械工学(エンジン含む) -13.9%
H 電気(半導体・通信) -17.6%

主要 IPC クラスで見ると、G08 信号(自動運転・IoT)が +64.0%、C12 生化学・微生物学が +25.8%、A23 食品が +18.0% と大きく伸び、逆に F02 燃焼機関が -25.3%、H04 電気通信技術が -24.1%、H01 基本的電気素子(半導体)が -15.3% と減少しています[JPO 特許行政年次報告書2025年版]

2025 年の国内出願人トップは、トヨタ自動車 4,943 件(+35%)でキヤノンを抜いて首位。パナソニック 2,572 件、三菱電機 2,052 件、NEC 1,797 件、NTT 1,756 件と続きます。EV・自動運転・水素技術の総合力で自動車業界が電機業界を上回った構図です。

AI 関連の内実も特筆されます。JPO 令和 7 年度の簡易型技術動向調査では、日本の AI 関連発明が 93,165 件(G06N コア発明 26,943 件 + AI 関連 FI 31,610 件 + AI コアキーワード 66,502 件の和集合)と大きな数字が出ました[JPO AI関連発明]。ただし、これは「AI を使った応用発明」を広く含むため、事件 2 で見た WIPO GenAI PLR の「生成AI コア技術」3,409 件とは切り口が違います。

CNIPA 中国 — 発明特許グラントが初の100万件超

CNIPA の 2024 年 発明特許出願は 1,828,054 件(+9%) と過去最高、発明特許 grant は 1,045,000 件(+13.5%、初の 100 万件超え) です[Nat Law Review CNIPA 2024]。世界の特許出願の約半分を CNIPA 1 極で受理している構図で、単純規模では米欧日を合わせても届きません。

技術分野の突出領域は 3 つあります。

  • AI: G06 が公開特許の 32% 超、G06N(機械学習)が最頻。AI 特許は世界の約 70%(約 30 万件出願)を中国が占める[Rapacke AI Patents]
  • 半導体: AI 特許の 60% 超がチップ技術関連。半導体自立化の国家戦略が反映
  • Green / 新エネ: 環境技術 invention grant 53,000 件(2020 年の 2 倍、年率 +19.2%)。水力 39.9%〜太陽光 54.9% で中国が主要 5 分野中 4 分野で世界シェア首位[WIPI 2024 Patents Highlights]

CNIPA は 2024 年に「特許密集産業(patent-intensive industries)」の総付加価値が 18,038.1 billion RMB(GDP の 13.38%) に達したと発表しました[CNIPA Patent-Intensive Industries]。新装備製造 5,137.7B RMB、ICT サービス 4,370.9B RMB、ICT 製造 3,588.5B RMB、新材料 1,647.6B RMB、医薬 1,406.8B RMB という順で、特許を国家戦略と結びつけて経済統計に組み込む姿勢が読み取れます。

5極を並べると見える「土地柄」

5 極の TOP5 を並べると、それぞれのお国柄がくっきり浮かびます。

  • WIPO: Computer technology が長期で首位、TOP5 集中度が上昇
  • USPTO: 半導体が首位を守り、AI が量・伸び共に強い
  • EPO: Computer が史上初の首位、電池が +24% で最速成長
  • JPO: 2025 年 +16.8% の急伸、自動車・AI 応用が牽引
  • CNIPA: 世界の半分を 1 極で受理、AI と新エネで圧倒

ただ、これは「表面」です。次のセクションでは、この土地柄の裏側にある 6 つのテーマ(AI、6G、半導体、EV/電池、mRNA、量子)を分解して、業界別ランキングが語る物語をたどります。

業界別ランキングの背景 — なぜこの順位なのか

AI・6G・半導体・電池・mRNA・量子のトレンド背景

ランキングを見るときに大事なのは、順位そのものではなく「なぜその順位なのか」の背景です。ここでは AI・6G・半導体・EV 電池・mRNA・量子の 6 テーマで、業界別データが語る物語をたどります。

AI/生成AI — 中国が世界の60%、日本は米国の半分

WIPO の Generative AI 特許ランドスケープレポートで示された数字は圧倒的でした。2014〜2023 年の累計特許ファミリー数は 25,000 件超、うち中国が 38,210 件で世界の 60% 以上を占め、米国は 6,276 件、日本は 3,409 件[CNBC China leads generative AI patents]。GenAI 特許出願人トップ 10 は Tencent 2,074 件、Ping An Insurance 1,564 件、Baidu 1,234 件、Chinese Academy of Sciences 607 件、IBM 601 件、Alibaba 571 件、Samsung 468 件、Alphabet 443 件、ByteDance 418 件、Microsoft 377 件で、7 枠が中国勢[UN News GenAI]

米国側の勢いも別軸で強いです。USPTO 発表では 2024 年の AI 特許出願が +33% 増、AI 関連の生物学系・機械学習・画像認識・シーン理解に厚みがあります[IPWatchdog USPTO AI Strategy]。ただし AI 特許全体で見ると、量では中国、質(引用数)ではドイツ企業が強いという構図で、Siemens 268 件・Bosch 197 件は平均被引用数 6.12 件と、少数精鋭でスコアを稼ぐ設計です[R&D World Quality vs Quantity]

なぜこの順位になったか、私なりの読み方はこうです。中国は「拡散モデル」で圧倒しており、特許ファミリー数は世界 2 位国の 14 倍以上、テキスト系では Tsinghua が LLM 特許で世界一。国家イノベーション駆動発展戦略による補助金、大学の大量出願、そして CNIPA が「量から質へ」の転換を明言したこと、この 3 つが重なった結果です。日本はスタートアップ数が薄く、大学からの出願も少ない構造で、この差は数年では埋まりにくいと感じています。

6G/NTN/O-RAN — 中国が世界の40.3%、5G成熟後の主戦場

Digital communication(デジタル通信)分野は 2024 年の EPO で 15,983 件(-6.3%)と踊り場に見えますが、実は「6G 競争」で息を吹き返しつつあります。EPO 2025 では Digital communication の欧州特許出願が +11.4% と急伸、韓国 +22.1%、米国 +23.5% の伸びが牽引しました[EPO 2025 Demand for European patents]

6G 特許では 2025 年 Q2 までに世界で 40,000 件を超え、中国 40.3%、韓国 21%、米国 19% というシェアで、Huawei・ZTE・China Mobile がテラヘルツ通信や宇宙・空・地上統合ネット関連で 65% 超を握っています[China Daily 6G Leadership]。5G SEP(標準必須特許)では Huawei 4,770 件(8.5%)、Samsung 4,770 件(8.5%)、LG 4,744 件、Ericsson 4,160 件、ZTE 3,564 件、Nokia 3,004 件の順で、中国勢(Huawei/Oppo/ZTE/vivo/Xiaomi)合計で 26,000 ファミリーを超えます[Parola Analytics 5G SEP 2025]

面白いのは、3GPP Release 18(5G-Advanced)以降で LG Electronics や Samsung、OPPO が上位に浮上していること。6G へのリーダー交代の兆しが数字に表れています。NTN(非地上ネットワーク)や O-RAN 分野では、AccelerComm のような専業スタートアップが 56 件のパテントファミリーを積み上げるなど、通信インフラの下位レイヤーで新規参入が起きている構図です[FifthRow AccelerComm NTN]

半導体・先端パッケージング — TSMCが累計10万件超、Intelが後退

半導体はランキング全体で「先端パッケージング特許」の伸びが際立ちます。TSMC は累計 10 万 4 千件超の特許を保有し、2025 年の US 特許グラントランキングでは 4,233 件(+6%)で Samsung に次ぐ世界 2 位に上がりました[Harrity Patent 300 List 2026]

先端パッケージング特許数では TSMC 2,946 件、Samsung 2,404 件でこの 2 社が量・質ともにリードし、Intel は 3 位に後退。シリコンフォトニクスでも 2024 年に TSMC が米国で 50 件出願し、Intel は 26 件と半分にとどまりました[Reuters TSMC advanced packaging]。背景は AI チップと HBM(高帯域幅メモリ)の需要爆発です。CoWoS 能力は 2023〜2028 年で CAGR 50% 超、先端パッケージング設備のマーケットは 2024 年に 10% 以上成長、パッケージング特許がロジック本体を押し上げている構図です(先端パッケージング業界レポート、PatSnap 2026)。

日本勢は IAM 2025 Q2 ランキングで Tokyo Electron 2,370 件(4 位)、Semiconductor Energy Lab 1,351 件(7 位)、Disco Corp 971 件(10 位)と後工程・材料で存在感を維持し、これら日本 3 社で半導体特許グラントの 17% を占めます[IAM Q2 2025 Semiconductors]。中国も CXMT が 2024 年に US パテント 731 件(+195.95%)で 42 位に飛び込むなど、量産型メモリ企業が急拡大しています。

EV/全固体電池 — 日本がリードする最後の車格分野

EV/電池は EPO の Electrical machinery, apparatus & energy 分野が 16,142 件で +8.9% 成長、うち電池関連の伸びが +24% と全カテゴリー最速です[EPO Patent Index 2024]。EPO 電池特許では 2023 年時点で CATL が 2 位、Amperex が 6 位、BYD が 8 位と中国 3 社がトップ 10 入り、EPO 電池特許シェアは 20% まで拡大しました。

一方、全固体電池では日本のリードが明確に残っています。JPO の 2023 年度特許出願技術動向調査(2012〜2021 年)ではトヨタ 950 件、パナソニック 507 件、Samsung グループ 485 件、LG グループ 430 件、中国科学院 370 件でトップ 10 のうち日本勢が 6 社[NEDO SOLiD-EV report]。PatSnap の 2026 年分析では、トヨタが 1,338 件の全固体電池特許を持ち、Samsung SDI の 340 件の約 4 倍、2024 年単独で 390 件を出願して硫化物系電解質と界面安定性でリードしています(Toyota vs Samsung SDI 全固体電池ロードマップ、PatSnap 2026)。

ただ BYD が 2026 年 5 月に硫化物系全固体電池特許を新規出願しており、中国も 2027 年のパイロット生産を目標に猛追しています[CarNewsChina BYD sulfide SSB]。CATL はナトリウムイオン電池でも 2024 年に 3,284 件を出願し、勢いは全方位に及んでいます。全固体電池は「日本=基礎、米国=ブレークスルー、中国=量産」の役割分化がしばらく続きそうです。

Medical/mRNA/遺伝子治療 — 訴訟ラッシュと大学発の質重視

Medical technology 分野は EPO で 15,701 件(-3.0%)と踊り場ですが、中身はモダリティ交代が進行中です。mRNA 関連は「新型コロナ後」の再拡大局面に入り、2025 年 Q1 だけで 257 件の新規特許出願 が公表され、2024 年 Q1 の 153 件から急伸[Knowmade mRNA Q1 2025]。BioNTech が 24 件で首位、うち 4 件は Pfizer との共同出願で、「特許戦争の当事者同士が協働で共同出願」する奇妙な構図まで生まれています。

訴訟面では Moderna が EP 3,590,949 を英国 High Court、ドイツ、欧州で維持し続け、UK Court of Appeal では 2025 年 8 月に Pfizer/BioNTech の異議を退けました。並行して米国 PTAB は 2025 年 3 月に Moderna 特許 2 件を無効化するなど、mRNA は特許の「量」より「有効性」を争う段階へと移行中です[Big Molecule Watch]

CRISPR は 1995〜2024 年 6 月に 14,000 件超の特許ファミリーが公表され、優先出願の 50.5% を中国が、36.15% を米国が握ります[IPI Switzerland CRISPR IP Landscape]。細胞・遺伝子治療(CGT)では Immatics 521 件、UC 345 件、Harvard 288 件、U Penn 283 件、MIT 256 件、Broad Institute 187 件、Moderna 140 件と、大学・研究機関が上位を占めるのが特徴的。AI・通信分野の企業支配とは色合いが異なります。

量子 — 副市場で王者が違うという特殊構造

量子は「分野分割」で読み解く必要があります。MIT Quantum Index Report 2025 によれば、量子テクノロジー全体では 2014〜2024 年で特許出願が 5 倍に増え、中国が 2014 年の 1,011 件から 2024 年に 7,308 件 と圧倒的な伸び、米国は 613 → 2,301 件でシェアを保っています[QIR MIT Quantum Patents]

ITIF の 2024 年 9 月レポートは、量子は 3 つの副市場で王者が違うと分析しています[ITIF China Quantum]

  • 量子通信: 中国が他国を大きく引き離しリード
  • 量子センシング: 中国が大きくリード
  • 量子コンピューティング: 米国が先行

つまり「中国が量子で世界一」なのか「米国がリード」なのかは、どの副市場を切り取るかで結論が 180 度変わる。中国の Micius 衛星による量子鍵配送実証、Jiuzhang 光量子コンピューター、それらで得た知財を国家標準に組み込む「Quantum-Safe」戦略があり、政府投資は 150 億ドル超。CAICT レポートでは 2025 年 8 月時点で世界の量子コンピューティング特許のうち米国 49.34%、中国 24.36%、欧州 9.67% というシェア[Global Legal Insights Quantum]。副市場ごとに分解しないと勝敗を読み違えます。


6 テーマを並べて見えるのは、業界別ランキングを見るときに「順位」だけでなく「どんな指標で切ったか」を意識する必要がある、ということです。件数か、シェアか、質か、副市場ごとか。この切り方の意識がないと、間違った物語を経営会議に持ち込んでしまいます。次のセクションでは、この観点をベースに「日本の位置づけ」を切り分けます。

日本の位置づけ — 「原子」で勝ち「ビット」で負けるという構造

日本の位置づけ 原子で勝ちビットで負ける構造

日本の特許を業界別で切ると、勝ちパターンと負けパターンがくっきり分かれます。物理・素材(原子)を扱う領域では圧勝、AI・SaaS・クラウド(ビット)では構造的劣位。この切り分けが、R&D 投資判断の起点になります。

「原子」で圧勝している日本 — 世界インフラの裏方を握る

日本が圧倒的に強いのは、物理現象を扱う素材と精密部品の領域です。

全固体電池: トヨタが 1,300 件超で世界最大の特許ポートフォリオを持ちます。Samsung SDI の 340 件、LG エナジーの 480 件、パナソニックの 620 件を上回る規模で[PatentAI Lab Japan vs China SSB]、硫化物系電解質と界面安定性で技術的にもリード。日本の全固体電池特許は「基礎化学」の層が厚く、米国が「anode-free 等のブレークスルー」、中国が「安価な量産化」を狙う中で、日本はコア特許で立ちはだかる存在です。

フォトレジスト: 半導体製造の露光工程で不可欠な感光性材料で、JSR + Tokyo Ohka + 信越 + 富士フイルムで世界シェア 87〜91%。特に EUV レジストは事実上日本の独占状態です[Mordor Intelligence Photoresist]。ここは中国も米国も追いつくのに 10 年単位の時間が必要と言われています。

シリコンウエハ: 信越 + SUMCO で 300mm シリコンウエハ 世界シェア約 53%(合わせて約 90%)[Trade.gov Japan Semiconductors]。半導体の土台になる素材で、これがないとどの国も先端半導体を作れません。

MLCC: 積層セラミックコンデンサーで 村田製作所が世界シェア約 40%、Murata + Samsung Electro-Mechanics + TDK で 60〜65% を握ります[Mordor Intelligence MLCC]。村田は 2025 年に「0.5μm 銅電極スタック」で容量密度 2 倍・コスト 40% 減の特許を取得しました[村田製作所知財戦略(日経)]

量子通信 QKD: 量子鍵配送では東芝・NEC が世界 3 位クラスの位置につけています。

これらの分野に共通するのは、「原子(物質)を精密に扱う工学」で、実験装置・製造設備・熟練工の 3 点セットが揃わないと参入できない参入障壁が高い領域です。日本の勝ちパターンはここに集中しています。

「ビット」で負けている日本 — 生成AIで中国の1/11

一方で、日本が構造的に負けているのは、ソフトウェア・クラウド・バイオ医薬プラットフォームなど「ビット」を扱う領域です。

生成AI: WIPO の集計で日本 3,409 件は 中国 38,210 件の 1/11、米国 6,276 件の約 1/2、韓国 4,155 件にも及びません[Patent Lawyer Magazine]。GenAI 特許出願人トップ 10 に日本企業は 1 社も入りません。

クラウド・SaaS: EPO 2024 の Computer technology 上位(Samsung / Huawei / Microsoft / Alphabet)に日本企業は入っていません。

医薬品(バイオ医薬): mRNA では米国が 2025 年 Q1 に 26 件で首位、日本は 2 位圏だが件数は 19 件と少ない。CRISPR 基盤特許を持たず、武田・アステラスは買収でカバーする構造です。

5G/6G SEP: 5G Release 15 の上位 6 社(Huawei / Qualcomm / Samsung / Ericsson / ZTE / Nokia)に日本企業ゼロ[Light Reading Huawei vs Qualcomm]

これらは「ビット」の世界で、実験装置ではなく計算資源とデータと若手エンジニアで戦う領域です。日本の R&D 投資構造・大学研究資金構造・VC 市場規模・スタートアップ数、この 4 つがすべて薄いので、どうやら数年では追いつけそうにない、というのが業界別特許データを追いかけていての率直な感触です。

JPO 2025年 内国人トップ10 — トヨタが+35%でキヤノンを抜いて首位

JPO の 2025 年 国内出願人 特許登録件数トップ 10 では、トヨタが 4,943 件(+35%)でキヤノンを抜いて首位に立ちました[JPO Status Report 2026]

順位 出願人 2025 登録件数
1 トヨタ自動車 4,943(+35%)
2 キヤノン 3,529
3 パナソニックIPマネジメント 2,572
4 三菱電機 2,052
5 NEC 1,797
6 NTT 1,756
7 三洋物産 1,579
8 デンソー 1,483
9 本田技研工業 1,434
10 三共 1,296

自動車業界(トヨタ・デンソー・ホンダ)の存在感が電機業界(キヤノン・パナソニック・三菱電機)と拮抗する構図です。トヨタが EV・自動運転・水素技術を総合して +35% の急伸を見せたのが 2025 年の象徴的な動きでした。

一方、外国出願人トップは LG Energy Solution が 1,280 件(+33%)で首位。次いで Huawei 823 件、IBM 803 件(+71%)、Applied Materials 568 件、Google 488 件、Qualcomm 430 件(+71%)と続きます。IBM と Qualcomm が +71% の急伸を見せているのは、日本市場での AI・半導体特許の防衛を強化した動きと読めます。

IP5比較 — 日本は3位を維持しつつ、中国の1/6規模

主要 5 特許庁(IP5)の比較で日本の位置を確認すると、次のとおりです(2024 年、単位: 千件)[JPO Status Report 2026]

特許庁 2015 2020 2024
CNIPA(中国) 1,102 1,497 1,828
USPTO(米国) 590 597 603
JPO(日本) 319 288 307
MOIP(韓国) 214 227 246
EPO(欧州) 160 180 199

日本は 5 極の中で 2015 年の 319 千件から 2020 年の 288 千件まで一度減り、2024 年に 307 千件へ回復。V 字回復基調に入っています。ただし中国の 1/6 規模、米国の約 1/2 規模という位置は変わりません。日本国内は 2025 年速報値で 358,317 件(+16.8%)とさらに急伸しており、この勢いが続くかどうかが 2026〜2027 年の焦点です。

もう一つ注目すべきは、中小企業の出願比率が 2015 年 13.9% → 2024 年 18.1%(過去最高) へ上昇していること。全企業数の 99.7% を占める中小企業からの内国人特許出願は約 4 万件と、絶対規模は限定的ですが、比率としては着実に伸びています。スタートアップ支援策の効果が数字に出始めています。

AI関連発明93,165件の「見方」 — WIPOのGenAI3,409件との違い

日本の AI 関連特許について、混乱しやすいポイントを一つだけ整理させてください。JPO 令和 7 年度の簡易型技術動向調査では、日本の AI 関連発明は 93,165 件 と大きな数字が出ています[JPO AI関連発明]。事件 2 で紹介した WIPO GenAI PLR の日本 3,409 件と、なぜこんなに差があるのか。

答えは「切り方の違い」です。

  • JPO 93,165 件 = G06N コア発明(26,943 件)+ AI 関連 FI(31,610 件)+ AI コアキーワード(66,502 件)の和集合。「AI を使った応用発明」を広く含む
  • WIPO 3,409 件 = 生成AI の「コア技術」(GAN、Transformer、拡散モデル等)で世界比較可能な粒度

つまり、日本は「AI 応用」では戦えているが、「AI コア技術」では中国・米国の後塵を拝している、と読むのが正確です。この違いを混同すると、経営会議で「日本の AI は 9 万件もあるから大丈夫」と誤読され、コア研究への投資が遅れてしまいます。ランキングを見るときは「何を分母にしているか」を必ず確認する。これがデータ探検の基本作法です。


日本の業界別ポジションを俯瞰すると、勝ちパターン(原子)と負けパターン(ビット)の切り分けが明確になります。次のセクションでは、この読み解きを月曜日の朝から R&D 投資判断に翻訳する 6 ステップと、Snorbe のような AI リサーチエージェントを使った反復ループを紹介します。

業界別ランキングをR&D投資マップに翻訳する6ステップ

業界別ランキングをR&D投資マップに翻訳する6ステップループ

業界別ランキングを見るだけで終わらず、月曜日の朝から「うちの R&D、どこに張る?」の判断材料に変える 6 ステップを紹介します。Snorbe のようなナレッジグラフ型 AI リサーチエージェントを軸に据えると、経営企画・知財部・IR・アナリストが同じデータを別切り口で使える運用ができあがります。

Step1: 業界をCPC/IPCで定義する

最初の関門は「業界の定義」です。「AI 業界」「電池業界」と自然言語で言うと粒度がバラバラになるので、CPC(協同特許分類)や IPC の分類コードで枠を切ります。

CPC は 25 万エントリー超で、IPC(15 万エントリー)の約 3 倍の粒度を持ち、更新も速く「新興技術用のセクション Y」があります[Wicely CPC Classification]。たとえば全固体電池なら「H01M10/05」、量子コンピュータなら「G06N10」+関連する Y02 系エマージング分類でショートリスト化。用語ゆれに強い定義になります。

Snorbe に「全固体電池の CPC 分類の主要コードを列挙して」と自然な日本語で投げると、Google Patents や JPO を横断してコードのショートリストを返してくれます。ここで CPC の一覧を作ることが Step2 以降の精度を決めます。

Step2: ベースラインlandscapeを作る

CPC が固まったら、直近 3 年の「業界地図」を一気に描きます。

  • 出願人 TOP20
  • 技術サブクラスタ(引用クラスタ)
  • 引用ネットワーク
  • 国別分布
  • Assignee 変更(M&A に伴う移管)
  • 発明者クラスタ

これを手作業でやると 1 業界あたり数週間、大手コンサル月百万円という世界です。Snorbe DR(Deep Research モード)に「全固体電池の直近 3 年の技術投資マップを描いて」と依頼すると、JPO/EPO/Google Patents/arXiv/PubMed/Semantic Scholar を横断して 1〜2 時間でベースライン landscape を作ってくれます。ここで作った landscape がその後の運用の起点になります。

Step3: 週次・月次のデルタ検知を仕込む

ベースラインができたら、次は「先週から何が変わったか」を継続監視します。

  • 新規出願
  • Assignee 変更(誰の名義から誰の名義へ移ったか)
  • M&A に伴うポートフォリオ移管
  • 訴訟・PTAB 判断
  • 新規発明者の登場

継続的な M&A / リアサイン監視は、ポートフォリオを準リアルタイムで正確に保つための要点です[DeepIP Corporate IP AI 2026]。Snorbe は完全記憶型ナレッジグラフを持つので、月をまたぐと記憶が育ちます。「先月の CATL の新規出願と、Toyota の反応は?」といった問いを、過去の文脈を保ったまま投げられます。

Step4: 引用グラフで早期シグナルを抽出する

新興技術は用語が定まる前に登場するので、キーワード検索では拾えません。同じ被引用先を共有するクラスタを引用グラフから抽出することで、まだ名前がついていない技術を発見できます[PatSeer Citation Analytics]

たとえば「anode-free 電池」という言葉が定着する前から、QuantumScape、Solid Power、MIT の一部特許が「集電体表面の人工 SEI 層」というテーマで相互引用を始めていました。この段階でシグナルを掴めば、業界紙で話題になる 2〜3 年前に投資判断に組み込めます。Snorbe のナレッジグラフはこの引用網の生成と維持が得意で、「〇〇のクラスタから、まだ命名されていない技術群を抽出して」と自然言語で問いを立てられます。

Step5: R&D効率スコアと重ねる

出願件数だけでは「効率」が見えません。EU の 2025 Industrial R&D Investment Scoreboard[EU JRC 2025 R&D Scoreboard] や有価証券報告書の R&D 費と、Patent Asset Index を組み合わせて「1 億円あたりの Competitive Impact」を業界横断で比較します。

  • SpaceX は登録率 95.51%(GreyB 分析、2026)で、出願段階で筋のいいものだけを選別している証拠
  • ドイツ Siemens 268 件・Bosch 197 件:件数は少ないが平均被引用 6.12 件で質でスコア
  • Patent Asset Index は成熟業界でも新興業界でもリーダーやディスラプターを識別できる設計[LexisNexis Patent Asset Index]

「うちは 1 億円あたり何件の Competitive Impact を出せているか」と数値化できると、経営会議で「R&D を減らすべきか増やすべきか」の議論が抽象論から数値論に変わります。IR 資料・投資判断・R&D 予算配分の 3 用途で共通言語になります。

Step6: 経営企画・知財・IR・アナリストで別切り口の運用を作る

同じ Snorbe のデータを、4 者が別々の切り口で使う運用にします。

  • 経営企画: 月次で「戦略投資マップ」の更新。混雑度と CAGR 予測を重ねて、次期中計の技術ポートフォリオを組む
  • 知財部: 四半期で「出願戦略・防衛戦略」。競合 top 出願人の技術サブクラスタを見て、自社の防衛出願と攻撃出願を計画
  • IR: 決算前後で「投資家向けメトリクス」。トヨタの「11 年連続米国自動車特許 1 位」のような対外アピール用の数字を用意[Toyota USA Patent Ranking]
  • アナリスト: 決算・トピックごとに「業界レポート」。個別銘柄の R&D 生産性を業界横断で比較

同じデータを 4 者が別々の切り口で使う、これが技術投資マップの本当の使い方です。

Snorbeの位置づけ — AIリサーチエージェントによる継続監視の新しい選択肢

これまで、こういう業界別特許ランドスケープを継続監視するには、大手コンサル契約(月数百万円)か、PatSnap Eureka のような専門ツール(法人契約が必要)か、知財担当が Excel で手作業、の 3 択でした。それぞれ強みはありますが、共通する弱点は「新しい問いを立てるたびに追加コストか追加工数がかかる」という点だと感じています。

Snorbe(https://lp.deskrex.ai/)は、この 3 択に対する 4 つ目の選択肢として設計しています。

  • 完全記憶型ナレッジグラフ: 月をまたぐと記憶が育つ。過去の文脈を保ったまま新しい問いを立てられる
  • クエリを意識しない: 「全固体電池、直近 3 年の日中韓比較」と自然な日本語で投げられる
  • 専門 DB を横断: JPO・EPO・USPTO・Google Patents・arXiv・PubMed・Semantic Scholar を一気に横断
  • Deep Research モード: 自律的にツール選択・調査・過去の記憶の連結を実行して、引用付きレポートを出す

大手コンサルの「重い」品質と、PatSnap Eureka の「専門的」な精度に、AI エージェントならではの「自然文で問える」使いやすさを重ね合わせた設計です。業界別ランキングを R&D 投資マップに翻訳する運用を、月曜日から始められます。

月曜日から試せる3つの問い

最後に、Snorbe で試してみると効果を実感しやすい問いを 3 つ挙げます。

  1. 「うちの主要業界(〇〇分野)で、直近 3 年の TOP20 出願人と、彼らの技術サブクラスタを整理して」 — 業界地図の起点になります
  2. 「〇〇分野で、まだ名前がついていない新興技術クラスタを引用グラフから抽出して」 — 早期シグナル探索
  3. 「うちの R&D 費と業界平均を比べたときの Competitive Impact 効率を評価して」 — 投資判断の共通言語作り

これらを月次・四半期で繰り返すと、業界別ランキングが「眺めるデータ」から「意思決定を動かすデータ」に変わります。特許出願件数の業界別ランキングは、ただの成績表ではなく、次の 5〜10 年の産業構造の予告編です。データを読む力を仕組み化して、月曜日の朝からうまく使ってみてください。


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(Snorbe の Deep Research を試したい方は https://lp.deskrex.ai/ からどうぞ。)

よくある質問(FAQ)

Q1. 特許出願件数の業界別ランキングとは何ですか?

WIPO、USPTO、EPO、JPO、CNIPA といった主要特許庁が「技術分野別」に集計した特許出願件数の順位です。企業別ではなく、Computer technology、Digital communication、Electrical machinery、Medical technology、Semiconductor といった 業界(technology field / IPC section) 単位で並べます。R&D 投資マップとしての位置づけで、経営企画・知財部・IR・アナリストが使います。

Q2. どの一次ソースを見ればいいですか?

主要な一次ソースは 5 つです。

  • WIPO World Intellectual Property Indicators(毎年 11 月に前年公開ベース)
  • WIPO PCT Yearly Review(毎年 3〜4 月に前年 PCT データ)
  • USPTO IFI Claims / Anaqua 集計(1 月〜2 月)
  • EPO Patent Index(3 月)
  • JPO 特許庁ステータスレポート&特許行政年次報告書(5〜6 月)
  • CNIPA 年次統計(1〜3 月)

無料で入手可能な PDF が公式サイトにあります。

Q3. 中国が世界特許の半分は本当ですか?

WIPO IP Facts & Figures 2025 によれば、2024 年の世界特許グラントの 49.5% を中国が占めます。2014 年の 34.6% から 10 年で 15 ポイント伸びた計算です。ただし CNIPA 自身が「量から質へ」の転換を公式に宣言済みで、実用新案登録件数は 2021 年ピークから -36% 減少しています。単純な件数だけで判断せず、質(Patent Asset Index、引用ネットワーク)と合わせて読む必要があります。

Q4. 日本は業界別ランキングでどこに位置していますか?

主要 5 特許庁の中で日本は 3 位を維持しています。JPO 2024 年の総出願は 307 千件で、CNIPA(中国)の 1,828 千件の約 1/6、USPTO(米国)の 603 千件の約 1/2 の規模です。2025 年速報値では 358,317 件(+16.8%)と急伸し、V 字回復基調に入りました。技術分野別では自動車・全固体電池・フォトレジスト・シリコンウエハ・MLCC で世界トップの位置を維持しています。

Q5. AI特許で日本が中国の1/11なのはなぜですか?

WIPO Generative AI 特許ランドスケープレポートで、日本の生成AI 発明件数は 3,409 件と、中国の 38,210 件の約 1/11、韓国 4,155 件にも及ばない結果でした。原因は 4 つの構造要因が重なっています。

  • R&D 投資が「原子(素材・部品)」に厚く「ビット(AI・ソフト)」に薄い
  • 大学からの AI 特許出願が少ない(中国は Tsinghua が LLM 特許で世界一)
  • VC 市場規模が小さくスタートアップからの出願が少ない
  • 生成AI 出願上位 10 社に日本企業が 1 社もいない

ただし JPO 令和 7 年度の「AI 関連発明」総数は 93,165 件で、「AI 応用」の分野では戦えています。切り分けが重要です。

Q6. 全固体電池でトヨタが強いのはなぜですか?

トヨタは全固体電池特許を 1,300 件超保有し、Samsung SDI の 340 件の約 4 倍で世界最大のポートフォリオを持ちます。2024 年単独で 390 件を出願、硫化物系電解質と界面安定性で技術的にもリード。日本は「基礎化学」の層が厚く、米国が「anode-free 等のブレークスルー」、中国が「安価な量産化」を狙う中で、日本はコア特許で立ちはだかる存在です。ただし BYD が 2026 年 5 月に硫化物系全固体電池特許を新規出願、2027 年パイロット生産を目標に猛追しています。

Q7. 業界別ランキングを実務でどう使えばいいですか?

4 つの実務用途があります。

  • 経営企画: R&D 投資配分の判断材料。混雑度(業界別出願件数)と CAGR 予測を重ねて、次期中計の技術ポートフォリオを組む
  • 知財部: 出願戦略のベンチマーク、競合出願人分析、引用ネットワーク分析
  • IR: Patent Asset Index、Technology Relevance、Market Coverage で「うちは業界 X 位」を対外アピール
  • アナリスト: セクター評価のマクロ指標、個別銘柄の R&D 生産性評価、業界横断の ROIC 分析

同じデータを 4 者が別々の切り口で使う運用が理想形です。

Q8. AIエージェントで技術投資マップを描く方法は?

6 ステップの反復ループが基本形です。

  1. 業界を CPC/IPC で定義(例: 全固体電池なら H01M10/05*)
  2. Snorbe DR でベースライン landscape 作成(出願人 Top20・引用ネットワーク・国別)
  3. 週次・月次デルタ検知(M&A・アサイン変更)
  4. 引用グラフで早期シグナル抽出(キーワードでは拾えない新興技術)
  5. R&D 効率スコアと重ねる(1 億円あたりの Competitive Impact)
  6. 経営企画・知財・IR・アナリストで別切り口の運用

Snorbe(https://lp.deskrex.ai/)はナレッジグラフ型で JPO/EPO/Google Patents/arXiv/PubMed/Semantic Scholar を横断し、自然な日本語で問いを立てられます。大手コンサル契約、PatSnap Eureka、手作業の 3 択に対する 4 つ目の選択肢として設計されています。

調査手法について

こちらの記事はグラフAIリサーチプラットフォームのSnorbeを使って作られています。Snorbeは研究開発・新規事業向けの調査テーマに応じた幅広い項目のオートリサーチや、ナレッジグラフの構築、構造化レポートの生成ができるAIリサーチツールです。

Screenshot

調査したいテーマを入力するだけで、AIが深堀りすべき観点や広げるべき調査項目をレコメンドしながら、自動でリサーチを進めます。収集した情報はナレッジグラフとして蓄積され、未調査領域(ホワイトスペース)を可視化しながら調査の網羅性を高めていけます。

また、観点マトリクスを30秒・構造化レポートを10分で自動生成する機能があり、出典付きのレポートをMarkdown/PDF形式でエクスポートできます。調査の元データも保存されるため、ファクトチェックや社内共有も容易です。

ご利用をご希望の方は、こちらよりお申し込みください。

また、グラフAIを活用した社内ナレッジ管理や、研究開発・新規事業のリサーチ支援、セルフホスト導入のご相談も受け付けています。お困りの方はお気軽にご連絡ください。

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