Metaが発表した「Muse」は、質問への回答に加えて、専用のVM(仮想マシン)上でブラウザーや接続先のアプリを直接操作し、作業プロセスを代行する個人向け製品です。依頼後も作業を続けるAIエージェントですが、現時点では米国から展開されており、日本での提供時期は未定となっています。
Museと既存のAIアシスタントは何が違うのでしょうか。米国での提供状況を確認したうえで、接続するサービスと権限、最初に任せる仕事、送信や購入前の承認を見ていきます。
Museの機能とMuse Spark・Meta AIとの違い

Museは、質問への回答だけでなく、ブラウザーや接続先のアプリを使った作業も引き受ける製品です。
Museは、専用のVM(仮想マシン)上でブラウザーや接続先のアプリを直接操作する、個人向けのAIエージェント製品として位置づけられています。たとえば、ウェブ上で特定の情報を検索して集め、それを元に別アプリでメールの下書きを作成するといった一連の作業を、ユーザーの端末とは別の環境で代行します。なお、現時点で日本での提供は未定となっています。
名前が似ているMuse Sparkや、既存のMeta AIとは役割が異なります。
「Muse Spark」は、Museのようなアプリではなく、基盤モデルの系列名です。開発者向けのモデルと、個人が仕事を任せる製品は別です。
次に、既存のAIアシスタントとの違いです。すでに広く使われているチャット型のMeta AIにも、メールやカレンダーと連携したり、継続的なタスクを実行したりする一部の行動機能が備わっています。しかし、Museは単にチャット画面に機能を追加したものではありません。
Museでは、ユーザーが達成したい目的(Goals)を指示し、どのアプリにアクセスしてよいかの権限を管理し、AIが実際に行った操作の活動履歴を確認するといった、エージェントを管理するための専用体験が用意されています。利用者は依頼後の操作を履歴で追い、必要な場面で承認できます。

9月の発表と提供状況

Metaは9月8日にMuseを発表し、米国でiOS、Android、Web版の提供を始めました。

その後、9月21日の報道時点では無料アプリランキングの上位に入ったと伝えられました。同時にこの報道では、AmazonがMuseからのアクセスを遮断したことも明らかになっています。なお、現在のランキング順位やアクセス遮断がその後解除されたかどうかは未確認です。
さらに、9月23日に開催された「Meta Connect」とその後の記事では、Mac版が利用可能になったことと、今後の予定としてAIグラスへの対応が計画されていることが発表されました。
メールと予定を任せるとき、Museはどこまで進めるか

Museに日常の作業を任せる際、どこまでが自動で進み、どの段階で人間の確認が必要になるのでしょうか。Metaはメールの整理、旅行の計画、フォームの入力、商品の購入などの用途を例示しています。
公式の紹介サイトでは、Metaの設計担当者が新学期の学校準備を行った社内例が紹介されています。この実例では、学校からのメールと学校サイトを確認し、カレンダーの予定を調整したうえで、必要な学用品を買い物カートに追加し、関連する予約までを一続きに処理しています。
以下は、学校行事の予定を確認する架空の例です。
例えば、ユーザーが「来週の学校行事についてメールを確認し、必要な予定の候補を作って」と依頼したとします。Museは指示を受け取ると、メールボックスから該当する学校からの連絡を読み取ります。さらに、その内容から日時や持ち物などの情報を整理し、カレンダーへ登録するための候補を作成します。
こうした情報の読み取りやリスクの低い操作は、途中で逐次承認を求めることなく進む可能性があります。
この間、ユーザーはMuseがどのメールを参照し、どのような基準で候補を整理したのかを活動履歴から確認できます。そして最終的に、メールの送信や商品の購入など、取り消しにくい操作では専用の承認UIで本人に確認する設計です。送信や購入が必要なら、利用者は承認画面に表示された内容を元の情報と照らして判断します。

なお、行事に必要な品物をオンラインで購入する場合も、Museが商品を検索して買い物カートに入れる段階と、実際の購入を確定する段階は明確に分かれています。購入代金を確定する際にも専用の承認UIを介する仕組みです。
ただし、すべてのショッピングサイトで代行を頼めるわけではありません。AmazonでのMuseの利用は、9月21日の時点でアクセスが遮断されたと報じられており、今後の対応サイトについては個別の状況に留意する必要があります。
提供地域での始め方と、画面で確認する順番

現在、Museは米国においてiOS、Android、およびWebで提供されていますが、日本での提供時期は未定です。設定画面については公式デモを参照します。実機での画面遷移は確認していません。
利用者は最初に、Museへ接続するサービスと許可する権限を選びます。公開デモの画面では「Settings」や「Memory」、そして承認済み権限を確認できる機能が示されており、ここでメールやカレンダーなど、自分が連携させたいサービスへのアクセスを管理します。

権限を設定したら、まず小さな仕事を依頼します。「Goals」は長期的な目標を管理する画面として紹介されています。初めはメールの読み取りや整理を頼み、活動履歴でMuseの動作を確かめられます。
依頼後はアバターの活動ログで、Museがアクセスしたサービスと行った操作を確認できます。また、Museが勝手に重要な操作を行わないよう、裏側では「Sentinel」と呼ばれる仕組みが行動を監視しており、操作を許可または拒否するほか、必要に応じて本人へ照会する役割を担っています。
メールの送信や商品の購入など、本人の最終確認が必要な段階に進むと、画面上に承認カードが表示されます。ユーザーはこのカードの内容を確認した上で承認を行うことで、初めて実際の処理が実行される順番になっています。
日本での提供状況と料金・端末・連携先

利用前には、住んでいる地域と使う端末が提供対象かを確認します。
現時点で日本での提供時期は未定です。現在Museが利用できるのは米国においてであり、端末としてはiOS、Android、およびWeb向けに提供されています。
参考として米国のApp Storeを確認すると、iPhone版はiOS18以降を搭載した端末で、18歳以上を対象に提供されています。さらに、Mac版もすでに公開済みと記載されているほか、今後数か月のうちにグラスでの利用も予定されています。
料金体系については、基本的な用途の多くは無料で利用できるとされています。米国のApp Store上でも無料ダウンロードとアプリ内課金の存在が表示されていますが、サブスクリプションが必要になる条件や、具体的な金額、利用できる回数の上限などは公式には発表されていません。日本での提供が始まる際にも、どのような料金プランになるかは追加の情報公開を待つことになります。

MetaはShopify、決済サービス、Notionなどとの連携を発表しています。しかし、対応サービスとして名前が挙がっていることと、ユーザーの個別のアカウントで確実に動作することは別です。
発表された連携先でも個別のアカウントで使えるかは画面で確認する必要があり、相手先のセキュリティ対策や仕様変更によって連携が制限される可能性があります。利用できるようになったら、よく使うサービスで読み取りなどの小さな作業から試せます。
権限・承認・プライバシーで確認すること

Museに仕事を任せる前に、接続先の権限、送信や購入前の承認、データの扱いを確認します。
Museに許可した権限は画面で確認し、後から調整できます。活動ログも確認できます。
AIが人の承認を待つ場面も確認します。情報の読み取りやリスクが低いと判断される操作については、途中で逐次承認を求められずに進むことがあります。
一方で、メールの送信や商品の購入といった重要な操作を行う際には、専用の画面で本人の確認と承認を求める設計が取り入れられています。ただし、買い物を頼む際などは相手先サイトの制限を受けることがあり、9月21日の報道ではAmazonがMuseからのアクセスを遮断したと伝えられています。

データの扱いは、MuseについてのMetaの説明とアプリ全体の申告を分けて確認します。
Metaは、ユーザーのデータをAIの学習に利用しないようオプトアウト(拒否)する設定や記憶の削除機能を用意しており、Museでの会話内容やVM(仮想マシン)内のデータを広告システムへ共有することはないと説明しています。なお、より強固な保護技術であるConfidential VMの導入は後日予定とされています。
一方で、米国のApp Storeにおけるプライバシー欄を確認すると、アプリ全体については幅広いデータ項目と広告目的での利用が開発者申告として記載されています。MuseについてのMetaの説明とアプリ全体の申告を確認し、接続先ごとの権限を選びます。
よくある質問
Q1. 日本からMuseを利用できますか?
Metaは日本での提供開始日を発表していません。現在は米国で提供しています。
Q2. 利用料金はいくらですか?
具体的な料金と利用回数の上限は未公表です。Metaは基本用途の多くを無料としていますが、課金が必要になる条件も示していません。
Q3. AIが勝手にメッセージの送信や商品の購入をすることはありますか?
いいえ、外部への送信や商品の購入といった重要な操作を行う際には、専用の承認UIで本人の確認を求める設計になっています。ただし、リスクが低いとされる情報の読み取りなどの作業においては、すべてにおいて逐次承認するわけではありません。
Q4. Amazonなどで買い物を代行してもらえますか?
外部サイトでの利用は相手先サービスの制限を受けることがあります。9月21日時点の報道では、AmazonがMuseからのアクセスを遮断したと伝えられており、現在すべてのショッピングサイトで確実に買い物代行を頼めるわけではありません。
Q5. スマートフォン以外の端末でも利用できますか?
米国ではiOS、Android、Webに加えて、Mac版もすでに公開済みです。また、今後の予定としてスマートグラスでの利用も計画されています。
市場調査やデスクリサーチの生成AIエージェントを作っています 仲間探し中 / Founder of AI Desk Research Agent @deskrex , https://deskrex.ai


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