PitchBookは、非公開市場を中心に、企業や投資家、案件などを結びつけて検索できる金融データベースです。企業を比較する調査において、PitchBookは候補を集めるための入り口になります。しかし、検索結果に表示された数値を、そのまま最終的な結論にしてはいけません。
データベースの数値には推計値が含まれており、情報の基準日などがすべての企業でそろっているとは限らないからです。ここでAIを活用します。AIには企業の優劣を決めさせるのではなく、データの定義の違いや空欄、矛盾点を見つけ出し、人が確認すべき順番を整理する役割を任せます。
PitchBookのデータをAIへ渡す前に、利用規約と個別契約を確認します。一般向けAIへデータを無断で読み込ませず、契約と組織の情報管理ルールの両方で許可された経路を使います。
AIが情報のズレを見つけ出したあと、最終的に元のデータを検証するのは人の役割です。この記事では、PitchBookで非公開企業を比較するとき、AIをどこに使い、どの根拠を人が確認すればよいのかを解説します。
PitchBookとは|非公開市場の企業・投資家・案件を結ぶDB

PitchBookは、ベンチャーキャピタル、プライベートエクイティ、M&Aなどの情報を中心とした、契約型の金融データベースです。公開企業のデータも扱いますが、非公開市場における資本関係と取引履歴を追う用途で主に使われます。
一般の企業名簿との違いは、企業以外の対象も別々のデータとして扱う点です。投資家、案件、ファンド、人物と企業の結び付きを検索できます。会社の基本情報に加え、誰が投資したのか、どの案件やファンドが関係するのかを追えます。
公式ページは2026年8月20日時点で、1,290万件以上の企業、65万7,000件以上の投資家、320万件以上の案件、17万1,000件以上のファンドを収録すると表示しています。これはPitchBookの公表値であり、市場情報の全件収録を保証する数値ではありません。
General Searchでは、所在地や業界、従業員数、売上などから企業を探せます。案件の種類、規模、取引日も条件にできます。ただし、General Searchだけですべての検索条件を扱えるわけではありません。
そのため、複数の企業を詳しく比較したい場合は、さらに細かな条件を設定できるScreenerという別の検索機能へ進むことになります。
企業比較はScreenerで条件と基準日をそろえる

Screenerでは、企業や案件、投資家、ファンドなどの対象ごとに条件を設定します。単発の比較では、検索結果をExcelへ書き出せます。
同じ比較を定期的に更新する場合は、Excel PluginでPitchBook IDや保存済みの検索条件を読み込めます。比較表には、取得した値だけでなく年度や四半期などの基準日も残します。
社内システムへ継続してデータを送る場合は、APIとData Feedを使い分けます。APIは必要なデータを都度取得し、Data Feedはまとまったファイルを定期的に受け取る方式です。
どの出力方法でも、比較表には企業名と数値だけでなく、通貨単位と値の区分を残します。値の区分は「推計値」か「報告値」かを記録し、報告値を独立検証済みとはみなしません。
出力できる列、上限、料金は個別契約で決まります。データをAIなど別の環境へ移す前に、契約内容と許可された連携経路を確認します。
PitchBookからAIへ渡す前に契約と経路を確認する

出力した比較表をAIで処理する前に、利用規約とデータの渡し方を確認します。PitchBookの利用規約は、データの第三者提供、機械的取得、データベースの実質的な再構築などを制限しています。
公開規約だけでは、一般向けAIへアップロードできるかを個別契約ごとに確定できません。利用中の契約と組織の情報管理ルールで許可された経路かを確認します。
外部AIとの公式な接続経路として、Premium Connectorsがあります。AI側の企業向けライセンスとシングルサインオン(SSO)を前提に、利用者の権限に沿ってPitchBookへ接続する機能です。実際に利用できる範囲は、個別契約と組織の情報管理ルールで確認します。
契約で許可された環境でも、企業の順位や最終結論をAIの回答だけで決めません。PitchBookの規約は、AIの回答が不正確または不完全になり得るため、重要情報を独立して検証するよう求めています。
AIには、比較表にある情報のズレを候補として挙げさせます。空欄は推測で埋めず、基準日、報告値と推計値、通貨単位の違いを整理するよう指示します。
比較表に含めた企業プロフィールや案件レコードのURLは、そのまま保持させます。AIにURLを新しく推測させず、差異の原因候補と人が確認する順番を出させます。
AIから受け取る成果物は、企業ごとの結論ではなく、データの定義差や矛盾点、追加確認の順番をまとめた作業用の一覧表になります。担当者はこの一覧表をもとに元のレコードを開き、事実を検証していきます。ここからは、比較表で見つかり得る評価額や案件分類の違いを、人がどう扱うかを見ていきます。
評価額・案件分類・欠損を同じ値として扱わない

PitchBookの非公開企業データには、報告された値だけでなく推計値も含まれます。必要な情報が提出書類などにない場合、公開ニュースなどから評価額を推計し、推計値のラベルを付けると説明しています。
推計には回帰モデルが使われ、予測額には幅があります。比較表では、報告値と推計値を分けて記録します。
投資ステージの分類名も、そのまま比べられるとは限りません。OECDは、ベンチャーキャピタルとプライベートエクイティの投資ステージに国際的な統一定義がなく、PitchBookなどのデータベース間でも基準が異なると説明しています。
金額や件数を比べる前に、通貨、地域、投資段階、案件の種類をそろえます。
比較表にある空欄も、単に金額がゼロであることを意味するわけではありません。情報がまだ取得されていないのか、公開資料からは確認できないのかを区別します。
PitchBookは、データを1日に複数回更新すると説明しています。検索結果には取得日を残します。
英国政府の年次報告も、PitchBookの数値に取得日を付けています。これは第三者が更新差を管理する記録例です。人が推計値や差異を検証した後は、採用値の確認経路も比較表へ残します。
比較表には採用値だけでなく確認経路を残す

最終的な比較表には、検索条件や取得日のほか、PitchBookに割り当てられた企業IDやプロフィールのURLを残します。金額などの値そのものに加えて、通貨単位、基準日、報告値か推計値かの区分も忘れずに記録します。AIが見つけ出した情報のズレに対しては、原因の仮説、確認した元のレコード、最終的に採用した値、判断を保留した理由などを人が追記していきます。
確認状態は証拠の範囲で分けます。「PitchBook内確認済み」は、元レコードで値の意味と基準日を確かめた状態です。「一次資料確認済み」は、企業発表や規制資料とも照合した状態です。
比較条件がそろわない値は「要確認」、資料間の差が未解決なら「不一致」とします。空欄をAIに推測させず、確認できなかった状態のまま残します。
PitchBookは、比較候補や資本関係を探す入口になります。AIには、比較条件がそろわない箇所を挙げさせます。人は元レコードへ戻り、採用する値と保留する値を判断します。
この役割分担なら、候補抽出から元レコードの確認まで、判断の経路を記録に残せます。
よくある質問
Q1. 同名の企業を比較表で見分けるにはどうしますか?
企業名だけで統合せず、PitchBook IDとプロフィールURLを残します。正式な法人名、所在地、公式サイトも照合し、別法人なら行を分けます。
Q2. PitchBookの料金はいくらですか?
公式ページは一律の料金表を示さず、必要な機能に応じて個別見積もりを案内しています。利用人数、組織の種類、データの出力方法を伝えて金額を確認します。
Q3. 評価額に推計ラベルがある場合、何を記録しますか?
表示額だけでなく、推計値という区分、基準日、通貨、元レコードURLを残します。予測幅が表示されている場合は、その幅も単一の金額へ置き換えずに記録します。
Q4. AIへの入力可否が契約から分からない場合、何を確認しますか?
社内の契約管理者と情報管理担当者に、PitchBookの個別契約と入力先AIの利用条件を確認します。データの保存先、学習利用の有無、アクセス権限も確認し、公開規約だけで可否を決めません。
Q5. Premium Connectorがあれば契約確認は不要ですか?
不要にはなりません。AI側の企業向けライセンス、SSO、PitchBookの利用権限が前提です。対応するAI環境、利用できる機能、データ範囲を個別契約で確認します。
Q6. 他の企業DBと比べる表には、どの条件を残しますか?
各データベースの投資ステージ定義、対象地域、集計期間を残します。案件種別、通貨、取得日も別々の列にします。同名の項目でも定義が違えば、同じ列へ統合しません。
Q7. AIが挙げた不一致は、どの順で確認しますか?
比較表に残したプロフィールURLや案件レコードURLを人が開きます。まず、元レコードの通貨と単位、基準日を確認します。次に、報告値と推計値、空欄、分類定義を確認します。
調査手法について
こちらの記事はグラフAIリサーチプラットフォームのSnorbeを使って作られています。Snorbeは研究開発・新規事業向けの調査テーマに応じた幅広い項目のオートリサーチや、ナレッジグラフの構築、構造化レポートの生成ができるAIリサーチツールです。

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調査したいテーマを入力するだけで、AIが深堀りすべき観点や広げるべき調査項目をレコメンドしながら、自動でリサーチを進めます。収集した情報はナレッジグラフとして蓄積され、未調査領域(ホワイトスペース)を可視化しながら調査の網羅性を高めていけます。
また、観点マトリクスを30秒・構造化レポートを10分で自動生成する機能があり、出典付きのレポートをMarkdown/PDF形式でエクスポートできます。調査の元データも保存されるため、ファクトチェックや社内共有も容易です。
ご利用をご希望の方は、こちらよりお申し込みください。
また、グラフAIを活用した社内ナレッジ管理や、研究開発・新規事業のリサーチ支援、セルフホスト導入のご相談も受け付けています。お困りの方はお気軽にご連絡ください。
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