ESG・サステナビリティ情報の調査では、複数の開示基準と膨大な企業資料を扱う必要があります。この作業をAIで進める際、担当者はAIにどう資料を渡し、どの判断を人に残すべきか迷うことがあります。結論から言えば、AIは資料から情報を探し出して証拠台帳を作る役割を担い、人が重要性や原文を確認して最終的な判断を下すという役割分担が不可欠です。
証拠台帳を作る6段階の手順は、まず調査目的から基準を決めることから始まります。例えば、IFRS S1は投資家向けのサステナビリティ関連リスク・機会、IFRS S2は気候関連リスク・機会を扱うとされているため、投資家向けの調査で選びます。また、ESRSは財務重要性とインパクト重要性の両面を扱う。
適用範囲は現行法令で確認することが求められるため、これら重要性の異なる情報を一つの表に混ぜないよう設計します。
次に、AIへの入力条件と出力する台帳の形式を固定します。このとき、未公開のサプライヤー回答、個人情報、契約上の機密、監査を受ける前の数値などを、外部のAIサービスへ無断で入力してはいけません。必ず公開済みの資料を使用します。
そのうえで、AIにはGRI 3は経済、環境、人への重大なインパクトを特定・評価し、判断、仮定、資料、証拠を文書化することに沿って、判断の前提や該当ページなどを証拠台帳の列として構造化して出力するように指示します。
具体例として、同業他社の気候関連の取り組みを比較する調査を考えます。入力情報として、対象企業がウェブサイトで公開している統合報告書を指定します。操作として、Deep Researchは指定した情報源を調べ、引用付きレポートを返す。
利用者は引用先を確認する仕組みを利用し、「指定した公開資料から温室効果ガス排出量の数値を抽出し、数値、前提条件、引用元のページ数を別の列にした表を作成してください」と入力します。AIからの出力として、引用元のついた証拠台帳の原案が生成されます。
最後に行うのが、人による確認です。生成された原案をそのまま当日の正本として扱うことはできません。担当者が表の引用元をたどって原文や数値を確かめ、基準の適用を満たしているか、公開してよい範囲の情報かを判断します。
このように、調査目的に合う基準選びから始まり、AIへの適切な入力、証拠台帳の作成、そして人が確認する項目を明確に分けることで、社内検討や開示準備を確実に行うことができます。
調査目的から使う基準を決める

ESG情報の調査をAIで効率よく進めるためには、手元にある企業資料をやみくもにAIへ読み込ませるのではなく、調査の目的と依拠する基準を最初に決める必要があります。収集した情報を誰が読み、どのような判断を下すために使うのかによって、AIへ指示するべき内容が大きく変わるためです。
例えば、投資家に向けてサステナビリティの取り組みを説明したいとします。このとき、IFRS S1は投資家向けのサステナビリティ関連リスク・機会、IFRS S2は気候関連リスク・機会を扱うため、これらの基準を選びます。
特に気候変動に焦点を当てる場合、IFRS S2はガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標を開示の柱とするため、AIにはこの4つの項目に沿って情報を探し出すよう指示を出します。
一方で、企業活動が社会に与える影響に焦点を当てる場合は、GRI 3を利用します。GRI 3は経済、環境、人への重大なインパクトを特定・評価し、判断、仮定、資料、証拠を文書化することを求めています。この場合、AIには影響の大きさを示す記述や証拠となるデータの候補抽出を任せ、その結果を人が確認して台帳に記録していく手順となります。
さらに、欧州の基準を利用する場合、ESRSは財務重要性とインパクト重要性の両面を扱う。適用範囲は現行法令で確認すると定められています。したがって、幅広い視点でAIへ情報を抽出させる一方で、実際の対象企業にあたるかどうかの判断はAIの推測に頼らず人が直接行います。
具体的な場面として、取締役会向けに競合他社の気候変動対応を比較する調査を考えてみます。このときの情報利用者は取締役であり、判断の目的は自社の戦略を見直すことです。ここでは比較軸を揃えるためにIFRS S2の開示項目を利用します。
AIへの入力として、公開されている競合他社の統合報告書やサステナビリティレポートを指定し、「各資料からIFRS S2が定めるガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標に関する記述を抽出し、比較表を作成してください」と指示します。AIは指定された軸に沿って候補となる文章と数値を抽出して表にします。
その後、抽出された内容が原文の意味とずれていないか、自社の戦略検討に使える適正な情報かを人が確認し、最終的な報告資料としてまとめます。
このように、調査の土台となる基準を人が選ぶことで、AIは的確な情報抽出を行えるようになります。目的を明確にした後は、選んだ基準がもつ意味の違いを正しく整理してAIに伝える準備へと進みます。
重要性の違いを一つの表へ混ぜない

調査に使う基準を決めた後は、それぞれの基準が持つ重要性の意味を整理し、AIが出力する表でどのように分けるかを設定します。異なる基準が求める情報を同じ列に混ぜてしまうと、AIが抽出した情報をもとに人が最終的な判断を下す際に混乱が生じるためです。
サステナビリティ情報における重要性には、大きく分けて二つの視点があります。一つ目は、環境や社会の変化が企業の業績に与える影響です。IFRS S1は投資家向けのサステナビリティ関連リスク・機会、IFRS S2は気候関連リスク・機会を扱うとされており、主にこの財務的な重要性に焦点を当てています。
二つ目は、企業活動そのものが環境や社会に与える影響です。GRI 3は経済、環境、人への重大なインパクトを特定・評価し、判断、仮定、資料、証拠を文書化することを求めており、自社の事業が外部にどのような影響を及ぼしているかというインパクト重要性を扱います。
さらに、これら二つの視点を同時に求める基準もあります。欧州の開示基準であるESRSは財務重要性とインパクト重要性の両面を扱う。適用範囲は現行法令で確認すると定められています。このように両方を考慮する考え方をダブルマテリアリティと呼びます。
AIに情報を抽出させて証拠台帳を作る際は、これら財務重要性とインパクト重要性の項目を一つの列にまとめず、必ず別々の列として出力するように指示を出します。AIは指定された資料の中から記述の候補を探し出し、表の形に整理することは得意ですが、その記述が企業の財務に影響するのか、それとも外部へのインパクトにあたるのかの厳密な区別を完全に任せることはできません。
例えば、飲料メーカーの水使用に関する調査において、AIで抽出を行う場合を考えます。入力データとして、対象企業がすでにウェブサイトで公開しているサステナビリティレポートや環境データ集を用意します。操作としては、AIへの指示欄から「資料から水使用に関する記述を抽出し、証拠台帳を作ってください」と命令します。
このとき、水不足によって工場の稼働が止まるリスクや対策コストといった「財務への影響」の列と、大量の取水が周辺の地域社会や生態系へ与える影響といった「地域社会・生態系への影響」の列を明確に分ける条件を付け加えます。
AIからの出力として、関連する文章や数値の候補が指定した二つの列に分かれた証拠台帳が生成されます。そこから先は、抽出された情報がそれぞれの重要性の定義を満たしているかどうかの確認を人が行います。
各列に抜き出された原文を人が読み込み、自社の基準に照らして本当に財務への影響と言えるのか、あるいは環境や社会への重大なインパクトに該当するのかを検討し、最終的な判断を下します。
このように判断軸となる重要性の違いを表の列として最初から分けておくことで、抽出結果の確認作業を正確に進めることができます。判断の土台を整理できたところで、次はAIへ渡す具体的な入力条件や調査依頼書をまとめる作業へと移ります。
AIへ渡す調査依頼書を作る

判断の土台となる基準の整理が終わったら、次はAIへ渡す具体的な指示、つまり調査依頼書を作成します。AIへやみくもに質問を投げかけるのではなく、入力する情報、対象期間、調べる資料、除外する範囲、そして出力形式をあらかじめ固定することが重要です。これにより、AIが出力する結果のばらつきを防ぎ、後の確認作業をスムーズに進めることができます。
まず、AIへ渡す入力情報と資料を決めます。ここで最も注意すべき点は、非公開情報の取り扱いです。未公開のサプライヤーからの回答、個人情報、契約上の機密、あるいは監査を受ける前の数値などを、外部のAIサービスへ無断で入力してはいけません。
必ずウェブサイトなどで公開されている情報を対象とするか、社内で許可された安全な環境で作業を進める必要があります。また、いつの時点の情報が必要なのか、対象期間を明確に指定することも欠かせません。
次に、調べる範囲と推測の禁止を指示に盛り込みます。AIは文章を要約したり推測したりすることを得意としますが、ESGやサステナビリティの調査では事実の正確性が求められます。そのため、「資料に記載がない場合は推測して書かず、未確認と記入すること」という除外条件をはっきりと伝えます。
例えば、OpenAIが提供するDeep Researchは指定した情報源を調べ、引用付きレポートを返す。利用者は引用先を確認するという手順が基本となります。AIにはあくまで情報源からの候補抽出と整理を任せ、資料にない情報を勝手に作り出させない仕組みを作ります。
具体的な例として、競合3社の気候変動に関する開示状況を調査する場面を考えます。入力として、競合であるA社、B社、C社が公開している2025年度のサステナビリティレポートのPDFファイルを用意します。操作にあたり、AIへの指示書には対象期間を「2025年度」と指定し、調査範囲を限定します。
気候変動に関する開示では、IFRS S2はガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標を開示の柱とするため、この4領域に関する記述だけを探すように命じます。同時に「指定したPDF以外の情報は使わないこと」「記載がない項目は推測禁止とし、未確認欄に入れること」を条件に加えます。
AIからの出力として、3社の該当する文章や数値が4つの領域ごとに分類され、それぞれにPDFのページ数などの引用元が付いた表が生成されます。ここでAIが提示した内容をそのまま最終的な正本として扱うわけではありません。最後に人が行う確認作業として、引用元のPDFと表を見比べます。
AIが推測を交えていないか、指定した4領域から外れた情報を拾っていないかを読み込み、調査の目的に沿った確かな証拠として使えるかどうかを判断します。
このように、対象となる資料や除外範囲、出力の形を固定した調査依頼書を作ることで、AIは事実の抽出に専念できるようになります。入力を整えた後は、AIが探し出した情報を人が漏れなく確認できるように、出力される証拠台帳の列の構成をさらに細かく決めていく段階へと進みます。
証拠台帳に原文と数値の条件を残す

AIへ渡す調査依頼書の準備ができたら、成果物としてAIにどのような形の表を作らせるかを決めます。この表は証拠台帳と呼ばれ、後から人が内容を確認して判断を下すための重要な土台となります。AIは資料から情報を探し出して並べることは得意ですが、その内容が本当に正しいか、基準を満たしているかを最終的に確かめるのは人の役割です。
そのため、人がスムーズに確認作業を進められるように、表の列の構成を細かく指示しておく必要があります。
ESG情報やサステナビリティ情報の調査では、単に結果の数値を書き写すだけでは不十分です。例えば、企業活動が外部に与える影響をまとめる際、GRI 3は経済、環境、人への重大なインパクトを特定・評価し、判断、仮定、資料、証拠を文書化することを求めています。
つまり、どのような前提でその結論に至ったのかという条件や、元となる資料の出処を一緒に記録しておかなければならないのです。
特に温室効果ガスの排出量を調べる場合は、より詳しい条件の記録が欠かせません。世界的な基準であるGHG Protocol Corporate Standardは企業の温室効果ガス排出インベントリの要求と指針を示すものであり、この指針に沿って多くの企業がデータを公開しています。
さらに、自社の直接的な活動だけでなく、サプライチェーン全体の排出量を扱うScope 3ではカテゴリ、活動データ、排出係数、推計方法などの条件を確認することが求められています。これらすべてが台帳の列に分かれて並んでいないと、正しい比較や分析ができません。
具体例として、取引先企業の温室効果ガス排出量を調査し、証拠台帳の行を作成する場面を考えます。入力情報として、対象企業がウェブサイトで公開している最新の環境報告書や統合報告書のPDFを用意します。未公開のサプライヤーからの回答や監査を受ける前の数値などを、外部のAIサービスへ無断で入力してはいけないため、必ず一般に公開済みの資料を使います。
操作にあたり、AIへの指示欄には「資料から排出量の数値を抽出し、数値、単位、Scope、対象期間、組織境界、算定方法、該当ページ、URL、未確認点をそれぞれ別の列に分けて一行の表にしてください」と入力します。
AIからの出力として、各列に抽出された情報が整理された証拠台帳の原案が作られます。もし資料に算定方法の記載がなければ、AIはその列に未確認と記入して出力します。そして最後に行うのが人の確認です。AIが作成した表をそのまま当日の正本として扱うことはできません。担当者は表に記載されたURLやページ数をたどり、元のPDFの原文と突き合わせます。
AIが抽出した数値の単位が間違っていないか、対象となる期間や組織境界の範囲が自社の知りたい条件と合っているか、算定の推計方法が妥当かを一つずつ自分の目で確かめることで、初めて社内で使える信頼できる証拠台帳が完成します。
このように、原文の場所と数値の前提条件を細かく列に分けて記録させることで、AIの抽出結果を人が確実にレビューできる仕組みができあがります。証拠台帳の形が整った後は、人がさらにどのような観点で確認を進めていくべきか、その手順を具体化していきます。
人が原文・適用範囲・算定を確認する

証拠台帳の原案がAIによって作成された後、最も重要となるのが人の手による確認作業です。AIは膨大な資料の中から関連する記述や数値を素早く見つけ出して整理しますが、その結果をそのまま最終的な判断や当日の正本として扱うことはできません。AIが作成した表を土台として、基準が求める厳密な条件を満たしているかを人が確かめることで、初めて信頼できる情報となります。
確認作業では、調査の目的として選んだ基準に沿って内容の正しさを確かめます。例えば、IFRS S2はガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標を開示の柱とするため、AIがそれぞれの柱に分類した文章が本当にその定義に合致しているかを人が読み込みます。
また、GRI 3は経済、環境、人への重大なインパクトを特定・評価し、判断、仮定、資料、証拠を文書化することを求めています。そのため、AIが抽出した仮定や判断のプロセスに抜け落ちがないか、元の資料と見比べて証拠を評価するのは人の役割です。
さらに、ルールの適用確認もAIに任せきりにはできません。欧州の基準であるESRSは財務重要性とインパクト重要性の両面を扱う。適用範囲は現行法令で確認すると定められています。AIは文書内の適用範囲の候補を提示することはできますが、自社や対象企業が本当にその要件に該当するのかは、担当者が現行法令と照らし合わせて最終的に判断する必要があります。
具体的な例として、同業他社との間でScope 3排出量を比較する調査を考えます。入力情報として、競合企業がウェブサイトで公開している統合報告書のPDFファイルを用意します。未公開の監査前数値を外部AIへ無断で入力してはいけないルールを守り、公開済みの資料だけを使います。
操作にあたり、AIへの指示欄には「Scope 3の記述を抽出し、カテゴリ、活動データ、排出係数、推計方法、連結範囲、再計算の有無を列に分けた比較表を作ってください」と入力します。
AIからの出力として、指示した項目ごとに整理された比較表の原案が生成されます。ここから先が人の作業です。Scope 3ではカテゴリ、活動データ、排出係数、推計方法などの条件を確認することが求められています。
担当者は表のページ数を頼りに元の統合報告書を開き、AIが抽出したカテゴリ分類に間違いがないか、推計方法の前提が他社と揃っているかを一つずつ確認します。企業間で連結範囲が異なっていたり、過去の数値が再計算されていたりする場合、単純に比較することはできません。これらの違いを人が原報告書で正確に読み取り、比較のための判断を下します。
このように、原文の意味、適用される範囲、算定の前提条件を人が確実に確認することで、AIが作った原案が正式な証拠台帳に仕上がります。抽出された情報の内容を確定させた後は、情報の入力から公開までの間にどのような境界を置き、権限を管理するかの段階へと進みます。
機密情報と公開承認の境界を置く

AIが作成した証拠台帳の原案を人が確認し、正確な内容に仕上げた後は、情報の取り扱いに関するルールを定めます。ここでは、外部のAIサービスへ送信してよい情報の境界と、調査結果を社外へ公開する前の承認の境界を明確にすることが求められます。これまでの6つの段階を安全に繰り返すための最後の仕上げとなります。
まず、情報の入力側における境界を厳格に管理します。未公開のサプライヤーからの回答、個人情報、契約上の機密、あるいは監査を受ける前の数値などを、外部のAIサービスへ無断で入力してはいけません。
セキュリティに関する国際的な基準を示すNISTは生成AIの虚偽情報、データプライバシー、情報セキュリティ、知的財産を別のリスクとして扱うとしており、外部へデータを渡すことには固有のリスクが伴います。そのため、AIへ入力するのは原則としてウェブサイト等で一般に公開されている資料に限定し、機密情報は人が直接扱うという線引きを徹底します。
次に、情報の出力側における境界を定めます。AIからの出力をそのまま最終的な判断や当日の正本として扱うことはできません。例えば、文章を生成する機能の代表例であるDeep Researchは指定した情報源を調べ、引用付きレポートを返す。利用者は引用先を確認するという仕組みになっています。
AIの役割はあくまで関連する記述や数値の候補を抽出して台帳にまとめることまでとし、その情報が基準を満たしているかの確認や、開示に向けた最終的な公開承認は必ず人が行うという権限の境界を社内で合意しておきます。
具体的な場面として、サプライヤー調査票を用いた排出量データの整理を考えます。入力情報として各サプライヤーから回収した回答が手元にありますが、契約によって外部へ送信できない未公開の個別回答は入力の対象から除外します。代わりに、各サプライヤーが自社のウェブサイトで既に公開している統合値や環境レポートだけをAIへの入力データとして用意します。
操作にあたり、AIへの指示欄から「公開済みの資料から各サプライヤーの温室効果ガス排出量の数値を抽出し、証拠台帳の形式に整理してください」と命じます。
AIからの出力として、公開情報に基づいて抽出された数値やページ数が記載された証拠台帳の原案が生成されます。最後に人が行う確認作業として、担当者はAIが整理した公開情報の台帳と、手元にある未公開のサプライヤー回答を安全な社内の環境で突き合わせます。
AIの抽出結果が原文と合っているかを確認し、さらに非公開の回答情報と照らし合わせて社内検討用の資料を完成させます。その後、この資料を開示情報として外部へ使ってよいかどうかを、社内の責任者が最終的に承認します。
このように、機密情報と公開情報との間に明確な境界を置き、AIと人の役割をきっちりと分けることで、情報漏洩を防ぎながら安全に作業を進めることができます。調査の目的から基準を選び、重要性を分け、依頼書を整え、台帳に条件を残し、人が確認して境界を管理する。
これら6つの段階を一つの再利用できる手順として定着させることで、次回の調査でも迷うことなく、AIを効果的な道具として使いこなすことができるようになります。
よくある質問
Q1. 調査にはどのようなAIを使えばよいですか。
OpenAIが提供するDeep Researchは指定した情報源を調べ、引用付きレポートを返す。利用者は引用先を確認するという仕組みになっています。AIにはこのような機能を使って資料からの候補抽出や台帳化を任せます。そして、抽出された内容が目的に合っているかは必ず人が確認して利用します。
Q2. 企業の公開レポートなどのPDFをそのままAIへ入力してもよいですか。
企業のウェブサイトで一般に公開されているPDFであれば、AIへ読み込ませて証拠台帳の原案を作らせることができます。しかし、NISTは生成AIの虚偽情報、データプライバシー、情報セキュリティ、知的財産を別のリスクとして扱うとしています。そのため、未公開の個人情報や監査を受ける前の数値を外部AIへ無断で入力してはいけません。
Q3. 複数の開示基準を同時に調査することはできますか。
可能です。例えば、IFRS S2はガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標を開示の柱とする一方で、GRI 3は経済、環境、人への重大なインパクトを特定・評価し、判断、仮定、資料、証拠を文書化することを求めています。AIに指示を出す際は、これらの異なる重要性や要求項目を一つの列に混ぜず、証拠台帳の列を分けて抽出させます。
Q4. サプライチェーンの温室効果ガス排出量(Scope 3)の調査にもAIを使えますか。
AIを使って公開資料から数値を抽出して整理させることはできます。しかし、GHG Protocol Corporate Standardは企業の温室効果ガス排出インベントリの要求と指針を示すものであり、算定の前提条件が複雑です。AIに条件を列に分けて整理させた後、カテゴリや推計方法が正しいかどうかを人が原文で確認する必要があります。
Q5. サプライヤーから回収した未公開の回答データはどのように扱えばよいですか。
未公開のサプライヤー回答や契約上の機密情報を、外部のAIサービスへ無断で入力してはいけません。セキュリティの基準において、NISTは生成AIの虚偽情報、データプライバシー、情報セキュリティ、知的財産を別のリスクとして扱うためです。機密情報は人が安全な社内環境で直接扱い、AIへは公開済みの情報のみを渡すように情報の境界を設けます。
Q6. AIが作成した調査結果をそのまま社外へ公開してもよいですか。
AIが出力した表を当日の正本としてそのまま外部へ公開することはできません。例えば、ESRSは財務重要性とインパクト重要性の両面を扱う。適用範囲は現行法令で確認するとあるように、最終的な適用の判断は人が行います。AIの抽出結果と原文を見比べ、社内の責任者が公開範囲を確認して承認する手順を守ります。
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