デザイントレンド調査を「Pinterestを何時間もスクロールする作業」から「AIで3層に分けて集める作業」へ切り替える方法を、実務ワークフローで解説します。ムード(Midjourney V7、Krea 2 Turbo、Recraft V3)、カラーとタイポ(Khroma、Colormind、Fontjoy、Adobe Firefly Boards)、レイアウト(Uizard、Galileo AI、Relume、Figma Make)の3層に分けると、AIツールの得意領域で層を切ることになり、集めた素材が翌週の自分にもクライアントにも語れるものに変わります。案件を跨いで積み上げるための新しい選択肢として、Snorbeも紹介します。
なぜ3層に分けるのか|Pinterest中毒からの脱出

デザイントレンド調査でAIツールを使いこなす前に、そもそも「何を集めるべきか」を層に分けて整理する発想が要ります。私自身、これに気づく前は毎回Pinterestを何時間もスクロールして、翌週になにを狙っていたか忘れる、を繰り返していました。
Pinterestを4時間スクロールした翌週、私は何を集めていたか忘れていました
先日、新規プロジェクトの初動で、私はPinterestを4時間くらいスクロールしていました。翌週そのボードを開き直したときにハッとしたのです。100枚以上のピンが並んでいるのに、どれが「なぜ集めたのか」を思い出せない。北欧っぽい写真の隣に、なぜかレトロなアジアのポスターがあって、その次にミニマル建築が続く。私の意図の欠片が、粉々に散らばっていました。
集めるときと見返すときで、デザイナーの脳の状態は違いすぎます。集めている瞬間は直感で拾えても、翌週には「なぜ選んだか」の記憶が残っていない。結局Figmaを開いてから、また最初から悩み始めます。この体験、私だけの話ではないと思います。SNSでもよく、デザイナーが「ピンボードが墓場になっている」と吐露しているのを見かけます。
さらに深刻なのは、この時間が「見えない負債」として蓄積することです。1案件で4時間、月に5案件なら20時間、Pinterestに投じているのに、それが翌案件に活きない。単発の消費で終わってしまう。デザイナーの調査時間の使い方として、これはかなり非効率です。
一枚岩のムードボードだと感性のノイズと使える素材が混ざる
デザインの本を読むと「ムードボードを作りましょう」とだけ書かれていて、色もタイポもレイアウトも全部混ぜて貼れと教えられます。でもこの一枚岩の集め方だと、後で整理するときに二重の手間がかかります。
たとえば1枚のピンに「湿度のある空気感」「モスグリーン」「サンセリフの重い書体」「非対称レイアウト」の4要素が同居しているとします。ムードボードとしては強い1枚ですが、後で色を決めるときにこの1枚を見ても、色を抽出するにはPhotoshopでスポイト、書体は目視で推測、レイアウトは別の資料と見比べる、と作業が分岐します。1枚のピンから4回作業が発生する構造になっていて、ここで時間が溶けます。
もうひとつ困るのが、クライアントに提案するときの説明のしにくさです。「なんとなくこのボードの雰囲気で」と言っても、雰囲気は伝わりません。「色は北欧の建材から、書体はこのポスターから、レイアウトはこのポートフォリオサイトから、それぞれ引いてきています」と分解できて、初めて「感覚で決めていない」という安心感が伝わります。
3層に分ける3つの理由
私は最近、この問題を「3層に分けて集める」という発想で解決しはじめました。ムード、カラーとタイポ、レイアウトの3層です。それぞれの層で使うAIツールを分けると、集めたものが後から「何を意図していたか」を語り始めてくれるのです。
3層に分ける理由は3つあります。
ひとつめは、AIツールが層ごとに得意不得意を持っているからです。Midjourneyでカラーパレットを厳密に管理するのは無理ですし、逆にKhromaで雰囲気を掴むのも難しい。ツールの得意領域に合わせて層を切ると、各AIが本領を発揮します。この「AIの得意領域で層を切る」という発想は、AIツールをまとめて紹介する記事にはあまり出てこない切り口ですが、実務では最も効きます。
ふたつめは、クライアントに「なぜこの方向性か」を層ごとに分けて説明できるからです。「トーンはこの3枚のピンから、色は北欧の建材から、レイアウトはこのポートフォリオサイトから」と分解できると、感覚で決めていないという安心感が伝わります。デザインは主観の産物と思われがちですが、3層に分解すると根拠の連なりに翻訳できます。
最後は、後から見返したときの記憶の残り方です。層ごとにフォルダを分けるだけで、翌週の自分にも意図が伝わります。ムード層のフォルダを開けば「今回は湿度感を追いかけていた」と1秒で思い出せる。1枚のピンに全部を詰め込んでいた頃には戻れなくなります。
Anima社のブログには「優れたデザイナーはAIを放任のためではなく、探索のために使う」という表現がありました。3層に分ける発想は、その探索を効率化する地図です。AIに全部丸投げしてアウトプットを待つのではなく、AIを「層ごとの探索の相棒」として使う、というスタンスです。
数字で見る、AI導入が効くデザイン工程
3層で分ける前提で、実際にAIを導入するとどのくらい効くのかも触れておきます。HubSpot Labs 2025の調査では、AIをUI/UXプロセスに統合したエージェンシーの77%が、顧客インターフェース設計時間を平均36%削減したと報告されています。この数字は、AIを「補助的に触っている」段階ではなく「ワークフローに組み込んだ」段階のものです。
もうひとつ、UI/UX特化のAIツールUizardの導入事例では、フランスのHealthTechスタートアップがアイデアサイクルを40%以上短縮しました。3〜5日かかっていた初期プロトタイプが半日で立ち上がるようになった、というレベルの短縮です。層3のツールを実務に組み込むだけでもここまで効きます。
これらの数字が意味するのは、AIツールを持っているだけでは足りず、ワークフローに組み込むかどうかで結果が変わる、ということです。3層に分ける発想は、そのワークフロー設計の1つの型として使えます。
次のセクションから、層ごとにどのAIツールを使うか、実務での使い分けを紹介していきます。まずは層1、感性を可視化するムード・雰囲気の層からです。
層1|ムード・雰囲気の可視化にAIを使う

3層のうち最初にやりたいのは、まだ言語化できていない「なんとなくのトーン」をAIに聞きながら少しずつ具体化していくことです。この層では、判断より発散を重視します。100枚くらい溜め込んで、絞り込みは後の層に持ち越すという運用です。
Midjourney V7|10倍速のDraft Modeで発散する
私が最初に触るのはMidjourney V7です。2026年にリリースされたV7には、Draft Modeという機能が載っていて、従来の10倍速でラフを吐いてくれます。Pinterestで気になったピンをMidjourneyに投げて「近い雰囲気の別バリエーションを20枚出して」と頼む使い方が多いです。
北欧+ミッドセンチュリー+朝の柔らかい光、みたいな組み合わせは、ピンの海には落ちていなくても、Midjourneyなら5分で20枚出せます。ピンで既に世に出ている画像を集めるのと、まだ存在しないムードをその場で作るのとでは、探索の広がり方が違います。Draft Modeではプロンプトの理解力が上がっていて、「湿度のあるモスグリーン、90年代の日本のアパートっぽい」みたいなふわっとした言葉でも、それなりの温度感で返してきます。
V7では手や顔の表現が写真と見分けがつかないレベルにまで進化したという評価もあり、人物を含めたムードボードを作るときも違和感が減りました。クライアントに方向性を提案する段階でMidjourney出力を混ぜても、以前ほど「AIっぽさ」を指摘されなくなった実感があります。
Krea 2 Turbo|生成待ちがない世界
もうひとつよく使うのがKrea AI、特に2026年6月4日に出たKrea 2 Turboです。スケッチや色を置くと、AIが50ミリ秒以下で画面を更新してくれます。1024ピクセルのFlux画像が3秒で出てくる速さは、生成待ちという概念を消してしまいます。
Kreaはムードボードを先にプラットフォーム上に作ると、AIがそのボード全体の視覚言語を読み取って生成してくれるのが面白い設計です。既に用意した数枚のピンから「このボードの続き」を作れる、というイメージ。私はKreaで「ムードのシード」を作って、そのシードをMidjourneyに渡して発散させる2段構えを取ることが多いです。
Krea 2 Turboは2026年1月20日にRealtime Edit機能、2月10日にNode Agent機能を追加していて、短期間で進化が続いているツールです。半年ごとに触り直すと、前と使い勝手が変わっていることがあります。
Recraft V3|ベクター生成の一手を持つ
作るものがロゴやアイコンを含むなら、Recraft V3を層1に混ぜます。Recraft V3はテキストからSVG形式のベクターを直接生成する数少ないAIで、v2に比べてアンカーポイントが60%少ないという進化があります。ベクターで出るということは、Illustratorに持ち込んで即編集できるということです。
ラスターとベクターは、後工程での扱いやすさが大きく違います。Midjourneyで生成した画像はムードの参照には強い一方、そのまま製品に組み込むのは難しい。Recraftを混ぜると「このアイコンの方向性をベクターで固めておこう」といった、次工程との橋渡しが1つの層内で完結します。
Pinterest AI Assistant|古参が現代的AI検索に進化
古参のPinterestも2026年時点では立派なAIツールです。Pinterest AI Assistantは音声と画像のマルチモーダル検索に対応し、選んだピンに対して「これに合うシューズを見せて」といった会話的な問い合わせができます。
以前のPinterest検索が「テキストキーワードで似た画像を引く」だったのに対し、Assistantは「この画像の一部を指して、それに合う別のものを探す」という粒度の検索ができます。ピンの中の特定のオブジェクトから連想を広げていく作業が、対話的にできる。デザイナーの感性の飛び方に近い動きをしてくれるようになった、という印象です。
加えてPinterest Predicts 2026は毎年12月に出る21のトレンド予測で、過去6年で予測の88%が的中しています。2026年はNeo Deco、Afrohemian Decor、Fun Haus といったキーワードが並び、代表色はクールブルーとカーキです。トレンドの先読みという意味では、これほど信頼できる公開データは他にありません。
なお動画方面ではOpenAIのSora のweb / app版が2026年4月26日で終了したため、動画枠はKreaのビデオ機能などへ移すことになります。Sora APIも2026年9月24日終了予定なので、API連携していたワークフローは切り替えが必要です。
層1の運用ルール|判断せず発散する
ここで私が気をつけているのは、まだ判断しないことです。層1ではAIに20枚出させて2枚残す、といった絞り込みはやらない。むしろ100枚くらい溜め込んで、判断は層2以降に持ち越します。
判断を早めると、狭いところに寄せた気になって、実は別の方向に大きな鉱脈があったのを見逃す、ということが起きます。層1のフォルダは意図的に「ノイズを含んだ」状態にしておく。1週間後に見返して「ノイズだと思ってたこの1枚が、実は今回の鍵だった」と気づく体験が、この運用の副産物としてよく起きます。
次のセクションでは、層1で溜まった大量のムード画像を、カラーとタイポという扱える要素に落としていく層2の話をします。
層2|カラーとタイポの言語化にAIを使う

層1で溜まった大量のムード画像を、言語化できる要素に落とす層です。ここで扱うのはカラーパレットとタイポグラフィ。感覚的な「いい感じ」を、RGBの数値と書体名という「引き出せる素材」に翻訳していきます。
Khroma|あなた個人の好みをAIが学習する
まず愛用しているのはKhromaです。ユーザーが最初に50色選ぶと、AIが機械学習で「あなたの好み」を覚え、あとは無限にパレットを提案してくれます。Web Design Trendsの解説記事によれば、選び続けるほど個人の好みに最適化されていきます。
面白いのは、Khromaのモデルが「あなただけの色感覚」に寄っていくところです。同じデザイナー10人が使うと、10通りの提案が返ってきます。Khromaは「万人向けのトレンドパレット」ではなく「あなたが今好きな傾向」を返してくれるので、層1で集めたムード画像を眺めながら「今日の私」の色感覚を学習させ直すのが私のやり方です。案件ごとに好みが変わることもあるので、案件冒頭にKhromaを一度リフレッシュする、というルーティンにしています。
Colormind|調和のとれた組み合わせと部分ロック
対してColormindは「調和のとれた組み合わせ」を出すのが上手いです。ランダムに5色を並べるのではなく、色理論的に破綻しない組み合わせを提案してきます。
Colormindで特に助かるのが部分ロック機能です。ムードから決まったキーカラー1色を固定して、残り4色をColormindに提案させる。この繰り返しで、通したいパレットに出会えます。「このモスグリーンだけは絶対使う」と決めた上で、残りの色をAIに考えさせる、という進め方が実務ではよくあります。
同じ使い方でCoolorsも選択肢に入り、こちらはスペースキーの反応が速く、数十パターンを高速に流せます。速度でColorsを流して、調和で確認したいときにColormindで一度確認する、といったツールリレーも組めます。KhromaとColormindとCoolorsの3本立てで、層2のカラー分析は8割固まる、というのが私の感覚です。
Fontjoy|Deep Learningで3書体を潜在空間から引き当てる
タイポではFontjoyを軸にします。FontjoyはDeep Learningで書体ベクトルを潜在空間にマッピングしていて、見出し・サブ見出し・本文の3書体を一貫したタイポシステムとして一気に提案してくれます。
厳密には既存フォントの中から相性のいい組み合わせを引っ張ってくるTransfer Learningの応用で、新しいフォントを生成するわけではありません。「実務でそのまま使えるフォント名が返ってきて、Google Fontsから即ダウンロードできる」という、地に足のついた実用性がFontjoyの強みです。
タイポの選定は、感覚だけで決めると「見出しはこのサンセリフで、本文はこのセリフで」と組み合わせを間違うことがあります。Fontjoyは組み合わせの妥当性を潜在空間の距離で担保してくれるので、少なくとも「事故は起きない」という安心感があります。攻めた組み合わせを試したいときは、Fontjoyのスライダーで「Contrast(対比の強さ)」を上げると、意外な組み合わせが出てきます。
Adobe Firefly|Boardsとカスタムモデルで層2を強化
Adobeユーザーなら、2025年のAdobe MAX London 2025で発表されたFirefly Boardsや、6〜12枚の画像で自分のスタイルを学習させるカスタムAIモデルも選択肢です。
Firefly Boardsは、ムードボード作成そのものをAI主導で回す環境として設計されていて、Adobe製品との連携が滑らかです。Illustrator、Photoshop、InDesignとの往復が多いデザイナーなら、Fireflyで層1〜層2を横断させる方が導線が短くなります。
カスタムAIモデルは、案件ごとに「今回のブランドの雰囲気」を6〜12枚の参照画像で学習させ、その学習済みモデルで層1と層2の生成を回す、という使い方ができます。ブランドの一貫性を保った素材生成が、これまでよりぐっと現実的になりました。
層2の運用ルール|「なぜいいか」を言葉に翻訳する
層2で私が意識しているのは「感覚的にいい」を「なぜいいか」に翻訳することです。「北欧の湿度感を出したいから深緑」「無機質さの中に少し人間味を残したいからこの書体」といったラベルを一緒に残すと、後で自分やクライアントに語れます。
このラベリング作業は、実はAIには任せません。Khromaが提案してきた5色に対して、なぜこの5色に決めたかは、デザイナーの言葉で残す。AIが提案してくる速度が上がっているので、ここで人間が言葉を残さないと、翌週の自分は「なぜこれを選んだか」を思い出せなくなります。層1と同じ罠が、層2でも起きるのです。
私はNotionに「案件名/層2/2026-07-15」というページを作って、選んだパレットのスクリーンショットと一緒に「なぜ選んだか」を3行くらいで書き残しています。翌週も翌月も、そこを見れば思い出せる、という運用に落ち着きました。
次のセクションでは、層1と層2で固めた素材を、実装可能な設計図に落とす層3の話をします。UI/UX方面のAIツールが本領を発揮する層です。
層3|レイアウトと構成の設計にAIを使う

3つ目の層は、実装可能な設計図まで落とす層です。ここではUI/UX方面のAIツールが強い。プロトタイプまで動く形で作れると、層1と層2で決めたトーンとパレットが「動いたときにどう見えるか」まで検証できます。
Uizard|堅実な線を引く教科書的AI
Uizardは、テキストプロンプトや手描きスケッチから即UIプロトタイプを作れるツールです。フランスのHealthTechスタートアップがUizardでアイデアサイクルを40%以上短縮した事例が紹介されていました。
非デザイナー向けに作られているため、AIが提案するレイアウトは意外と教科書的で堅実です。ヘッダーの高さ、ボタンの間隔、カードの並びが「正解」に寄っていく感覚があります。この堅実さは、実務では強みです。「教科書のフォーマットからどこを崩すか」を考える基準線として役立ちます。
Uizardは、スケッチをスマホで撮って投げるとUIに起こしてくれる機能もあるので、会議中にホワイトボードに描いた案をその場でプロトタイプに落とす、といった使い方ができます。デザインレビューの現場でスピードが変わります。
Galileo AI|攻めた線を大量に出す
反対にGalileo AIは、テキストからのUI生成のバリエーションが多く、同じプロンプトでも10通り近く異なるレイアウトを提案してくれます。私はUizardで堅実な線を引いた後、Galileoで攻めた線を探すという使い分けです。
Galileoが提案する10通りの中には、正直「ちょっとやりすぎ」「これはビジネス的にNG」というものも混ざります。でもその中に、UizardやFigmaを1人で作っていたら思いつかなかった構図が混ざっていることがあって、そこが宝物になります。「AIに提案させる」のは、実は「自分の癖から脱出する」ためのツールとしても機能します。
デザインの上手いデザイナーほど、無意識に自分の得意なパターンに寄せていきます。Galileoの雑多な提案を眺めることで、その癖に気づけます。10案のうち9案は捨てる前提で、1案だけ気になるものが引き出せれば十分ペイします。
Framer AI|インタラクションを含めて検証する
静的なレイアウトが決まったら、Framer AIでインタラクションを含めて検証します。ここで静止画のムードでは分からなかった、動いたときの印象が見えてきます。
「思ったより硬い」「クリックしたときの気持ちよさが足りない」「スクロールの重さがブランドに合わない」といった発見が、動いてみて初めて出てきます。Framerは、Figmaを補完する形でよく使われるツールで、複雑なユーザーフローの検証や、マイクロインタラクションの追加検討に強いです。
Relume|サイトマップから1000コンポーネントで構築
プロジェクトがLPやコーポレートサイトなら、Relumeが強いです。Relumeはテキスト説明からサイトマップを自動生成し、そこから1000以上の実コンポーネントライブラリでワイヤーフレームを組み、Figma・Webflow・Reactへ直接エクスポートできます。
Relumeの面白い設計は、サイトマップとワイヤーフレームの双方向連動です。サイトマップのセクションを消すとワイヤーフレームからも同じセクションが消え、逆にワイヤーフレームで追加したセクションはサイトマップにも反映されます。構造と実装が繋がっている感覚が強く、LPの企画から実装までの距離を縮めてくれます。
コンポーネントが実際のコード(Webflow / React)にすぐ落ちるので、デザイナーがエンジニアに渡すときの摩擦が少ないのも実務的な利点です。フロントエンドチームとの往復が減ります。
Visily|スクリーンショットから逆解析する
競合サイトのスクリーンショットから逆解析したい場合は、VisilyのScreenshot to Wireframeが便利です。競合サイトを撮って投げると、編集可能なワイヤーフレームに変換してくれます。
「この機能は競合のこの画面を参考にしたい」というときに、スクリーンショットのままでは詳細を触れませんが、Visilyでワイヤーフレームに落とすと編集可能な素材として扱えます。競合分析からの構造抽出が、驚くほど早くなります。
Visilyは非デザイナー向けの設計思想が強く、PM(プロダクトマネージャー)やスタートアップ創業者もターゲットに含まれています。Freeプランで月300 AIクレジットが使えるので、まず試すのに向いています。
Figma Config 2025|SitesとMakeが3層の統合レイヤーに
3層全部を1つの環境で回したい場合は、Figma Config 2025で発表されたFigma Sites / Figma Makeが選択肢に入ります。Figma Makeはプロンプトから動くプロトタイプを生成するAIツールで、既存のFigmaデザインからも「create code from design」で動きを付けられます。
Figma SitesはAIで動的ウェブサイトを構築・公開まで持っていける機能、Figma Buzzはブランド一貫性を保ったマーケティング素材の生成機能です。Figmaの中で層1〜層3をシームレスに回せる環境が整いつつあります。Adobeユーザー、Figmaユーザーがそれぞれ「自分の主戦場のツール群」で3層を統合できる時代に入ってきました。
層3の運用ルール|AIの提案を並べて自分の目で選ぶ
層3で私が気をつけているのは、AIの提案を鵜呑みにして満足しないことです。UizardもGalileoもパッと見の完成度が高いので、それだけで満足するとどこかで見たようなUIになります。
層3の完成物を層1のムードボードの隣に並べて見比べるだけで、質の落ちを防げます。「層1で追いかけていた湿度感が、この層3の案に残っているか」を自問する。残っていなければ、Galileoでもう10案出させて、層1に近い候補を探す。層と層のあいだの往復を繰り返すことで、3層構造の意味が生きてきます。
もうひとつ大事なのは、層3で作ったプロトタイプをクライアントに見せる前に、必ず自分の言葉で「なぜこの構成か」を言えるかチェックすることです。AIが出した理由をそのまま説明するのではなく、層1と層2で残したラベルと接続して、自分の意志として語れるかどうか。ここが「AIの提案を選んだデザイン」と「デザイナーが選んだAIの提案」を分けます。
次のセクションでは、3層を1日でどう回すか、具体的なタイムラインと、案件を跨いで積み上げるためのSnorbeという別軸の武器を紹介します。
3層を統合する1日のワークフローとSnorbeという別軸の武器

3層それぞれのツールを個別に紹介してきましたが、実務では1日の中で3層を横断します。ここでは私が実際に回している新規案件初日のタイムラインと、案件を跨いで積み上げるための「新しい選択肢」を紹介します。
朝10時:層1でムードを100枚まで発散する
新規プロジェクトの初日、朝はブリーフからキーワードを3つ絞ります。「静けさ」「デジタル×手仕事」「読み手が長く滞在したくなる」といった具合です。まずKreaに向かい、それぞれのキーワードで3〜5枚ずつ画像を生成させます。頭のイメージを「近い、遠い」で調整しながら30〜40分でボードが仕上がります。
昼前にMidjourney V7へ切り替え、気に入った5枚を起点にDraft Modeで発散させ、1時間で100枚以上のバリエーションを集めます。この段階ではPinterestは触りません。既視感で発想が引き戻されるので、あえて後回しにします。Pinterestは午後に「既に世にある文脈の答え合わせ」として使うのがちょうどいい役割分担です。
100枚のうち半分以上はノイズで問題ありません。むしろノイズを含んだ状態で層2に進むほうが、翌週の見返しで発見が生まれます。
午後1時:層2で色と書体を絞る
午後1時からは層2に入ります。KhromaとColormindで色を絞り、並行してFontjoyで書体の3階層を5パターン用意し、言語化されたパレットと書体セットを3〜4案作ります。
このとき、朝に集めた100枚のムード画像をディスプレイの半分に置いておいて、色を選ぶたびに「このパレットは朝のムードと繋がっているか」を確認します。層1と層2を分けているのは作業効率のためであって、精神の分断ではありません。層1の意図が層2に流れているか、常に確認します。
書体を選ぶときは、Fontjoyの提案の中から3案に絞って、実際に案件のダミーテキストに当てて印象を確かめます。「見出しだけ良さそう」と思っても、本文と組み合わせると印象が変わることがあるので、必ず組み合わせで判断します。
午後3時:層3で構造まで作る
午後3時からは層3。UizardとGalileo AIでUI案を各3案ずつ出させ、LPならRelumeでサイトマップから組み立てて、Framerでインタラクションを触ります。Uizardの堅実案とGalileoの攻めた案を並べて、その中間くらいのバランスで構成を決めることが多いです。
ここで、朝と午後1時に決めたムードとパレットを、Figmaで最終形に近い形に組み上げます。Figma Makeが手元にあれば、動きを付けたプロトタイプまで一気に持っていきます。動きが付いた瞬間、静止画では見えなかった「重い、軽い、速い、遅い」の印象が出てきます。
夕方5時:3層フォルダに一言添えて格納する
夕方5時までに、3層それぞれのフォルダに「今日のリサーチ」を格納し、なぜ選んだかを一言添えます。ここで一言残さない日は、翌週の自分に何も届きません。
このワークフローの肝は、層をまたぐ順序を崩さないことです。層3から入る(Relumeでいきなりワイヤーフレームを組む)と、ムードが後付けになり、全体の説得力が落ちます。順序を守るだけで、成果物の説得力が変わります。
ちなみに電通は2026年時点で∞AI Ads2やAI For Growth Canvasといったエージェント群を組んで戦略から検証までを一気通貫で回していますし、博報堂DYも広告特化型AIモデルをHakuhodo DY ONEに実装しています。個人のデザイナーが3層で回しているのを、大手代理店はエージェント群という大きな仕組みで組み直している構造です。仕組みの規模は違えど、「層に分けてAIを配置する」という発想は共通しています。
案件を跨いで積み上げるための、新しい選択肢としてのSnorbe
ここまで書いてきた3層の調査は、実は1回やって終わりではないという難しさがあります。デザイントレンドは毎月変わりますし、案件ごとに集めた層1〜3のリサーチが、次の案件でも「あの時のあれ、使えそう」と繋がるはずなのです。でも実際は、案件ごとにFigmaファイルが増え、Pinterestボードが増え、Notionの調査メモが増え、それぞれが独立した島になってしまう。3か月前のリサーチを掘り出そうとしても、どこにあるか思い出せない。私自身、これに悩んでいました。
Pinterest、Figma、Notionは、それぞれ「今その瞬間に集める」ことには強い一方、案件を跨いで積み上げる、という設計にはなっていません。だから、フォルダを綺麗に分けるルールを自分で作っても、月を跨ぐと運用が破綻します。この構造的な弱点は、既存ツールの延長では埋まりません。
最近試している新しい選択肢がSnorbeというリサーチエージェントです。Snorbeはナレッジグラフ型で情報を蓄積していく設計で、過去のリサーチと今回のリサーチが自動的に連結されます。「今回の案件で気になったモスグリーンの傾向、3か月前のリブランディング案件でも似た色を追いかけていましたよ」と、過去の自分の思考が現在に接続されてくる感覚があります。
3層構造で毎案件のリサーチを溜めていくとき、Snorbeに調査ノートを渡しておくと、次の案件で「過去のムード層に近い案件はあったか」「あのときのカラー分析はどう決着したか」を、時系列を超えて引き当ててくれます。既存のPinterestやFigmaが「集める」に強いのに対し、Snorbeは「積み上げて再利用する」ための別軸の武器として機能します。
Snorbeが面白いのは、AI検索エージェントでありながら、対話しながら知識のグラフが育っていく設計になっている点です。デザイナー個人の「私だけの調査ノート」が、月を跨ぎ、案件を跨いで、資産として厚みを増していきます。デザイナーの調査は、瞬発力より継続的な地層のような蓄積で差がつく仕事だと私は思っています。その地層を作る場所として、Snorbeは既存の道具立てとは別の軸で機能します。
最後に、あなたの調査はどこで詰まっていますか
まとめると、私が伝えたかったのは「Pinterestを4時間スクロールする代わりに、3層に分けて集めよう」というシンプルな話です。層1のムードでMidjourney V7やKrea 2 Turboを回して、層2のカラーとタイポでKhroma・Colormind・Fontjoyを組み合わせ、層3のレイアウトでUizardやGalileo AI、Relumeで構造まで持っていく。この流れを、案件のたびに繰り返す。そしてSnorbeのような蓄積の場所を持って、過去のリサーチを未来の自分に届ける。
あなたのデザイン調査のワークフローは、いまどの層で詰まっているでしょうか。感性の可視化なのか、それを言語に落とすところなのか、構造に翻訳する段階なのか。詰まっている層が分かれば、次に触るAIツールも自然と見えてくるはずです。3層のうち、まずは1層だけでいいので、明日の業務で試してみてほしいと思います。Pinterestのタブを閉じて、KreaかMidjourneyを開くところから始めてみてください。
よくある質問
Q1. 3層のうち、最初にどこから始めればいいですか?
まずは層1(ムード・雰囲気の可視化)から始めるのがおすすめです。Kreaの無料枠かMidjourney V7のDraft Modeを1つの案件で試すだけで、Pinterestを何時間もスクロールする時間が大きく減るのを実感できます。層2、層3は層1の運用に慣れてから広げていくと、無理なく3層構造に馴染めます。
Q2. MidjourneyとKreaはどう使い分けますか?
Kreaは「ムードのシード作り」に強く、リアルタイムで生成が更新される速度感で発想を刺激してくれます。Midjourneyは「Kreaで作ったシードから発散」に強く、Draft Modeで大量のバリエーションを一気に出せます。私は最初にKreaで5〜10枚のシードを作り、そのシードをMidjourneyに投げて100枚以上に発散させる2段構えで使っています。
Q3. 無料で始められるAIツールはどれですか?
無料または低コストで始められるものとしては、Fontjoyは完全無料、KhromaとColormindとCoolorsも基本機能は無料で使えます。Visilyは月300クレジットまで無料、Uizardも無料枠があります。Midjourneyは基本有料ですが、KreaやRelumeにも無料枠があるので、層ごとに1つは無料ツールから始められます。
Q4. クライアントに「なぜこのデザインか」を説明するとき、3層構造は役立ちますか?
3層に分けると、クライアントに「トーンは層1のこの3枚から、色は層2のこのパレットから、レイアウトは層3のこの構造から」と分解して説明できます。感覚で決めていないという安心感を、クライアントに与えやすくなります。デザインは主観の産物と思われがちですが、3層構造は説明可能な連なりに翻訳する仕組みとして機能します。
Q5. Pinterest Predictsのトレンドは毎年信頼していいですか?
Pinterest Predictsは過去6年で予測の88%が的中しており、他プラットフォーム発のトレンドより約2倍長く持続する傾向があるとPinterest公式が公表しています。2026年はNeo Deco、Afrohemian Decor、Fun Hausといったキーワードと、クールブルーとカーキが代表色です。すべてを鵜呑みにするのではなく、案件に合うトレンドを取捨選択する材料として使うのがちょうどよいと思います。
Q6. SnorbeはFigmaやPinterestの代わりになりますか?
代わりではなく、別軸の武器として位置づけています。FigmaとPinterestは「今その瞬間に集める」ことに強い一方、案件を跨いで積み上げる設計にはなっていません。Snorbeはナレッジグラフ型で情報が自動連結される設計で、月を跨ぐ調査の資産化に向いています。層1〜層3のリサーチを個別ツールで回しつつ、その調査ノートをSnorbeに渡していく、という併用が現実的です。
調査手法について
こちらの記事はグラフAIリサーチプラットフォームのSnorbeを使って作られています。Snorbeは研究開発・新規事業向けの調査テーマに応じた幅広い項目のオートリサーチや、ナレッジグラフの構築、構造化レポートの生成ができるAIリサーチツールです。

Screenshot
調査したいテーマを入力するだけで、AIが深堀りすべき観点や広げるべき調査項目をレコメンドしながら、自動でリサーチを進めます。収集した情報はナレッジグラフとして蓄積され、未調査領域(ホワイトスペース)を可視化しながら調査の網羅性を高めていけます。
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