PatentfieldとFRONTEOの特許調査AIを機能数だけで比べても、知財部の導入判断は決まりません。二つは、調査を始める材料と、AIから受け取る成果物が違うからです。
Patentfieldは、検索で母集団を作り、絞り込み、可視化、分類まで同じ環境で進めます。FRONTEOのPatent Explorerは、重要だと分かっている文書や発明内容を教師データにし、読む候補へ順番を付けます。
定期監視や競合分析の共通基盤を選ぶなら、Patentfieldを候補にします。既知の重要文書から大量公報の確認順を作るなら、FRONTEO側を同じ正解集合で試します。ただし、公開された時間削減例だけでは精度の勝敗を決められません。
PatentfieldとFRONTEOの違いは調査の開始点

PatentfieldとFRONTEO Patent Explorerの差は、調査の開始点を見ると分かります。Patentfieldは検索条件や自然文から対象文献を集めます。FRONTEO側は発明提案書や既知の重要文献を教師データにします。その教師データを基準に、母集団へ関連性スコアを付けます。
| 判断軸 | Patentfield | FRONTEO Patent Explorer |
|---|---|---|
| 調査の開始点 | 検索式、自然文、分類、出願人など | 発明内容、請求項、既知の重要文書など |
| AIの中心出力 | 検索集合、分類、集計、可視化 | 関連性スコアと確認順 |
| 向く業務 | 定期監視、競合分析、検索・分析基盤 | 先行技術、無効資料、候補の優先確認 |
| 公開料金 | 基本プランと一部オプションを掲載 | 公式ページでは確認できず、要見積もり |
| 導入時の確認 | 対象国、出力件数、オプション | 製品世代、対象データ、教師データ、出力 |
この表は一方が常に優れているという意味ではありません。先行技術調査と技術動向分析では、許容できる見逃しも成果物も違います。まず、自社が減らしたい作業を一つに絞ります。
Patentfieldは検索から分析までをつなぐ

Patentfieldの公式製品ページは、プロフェッショナル検索、データ可視化、AIセマンティック検索、AI分類予測を主要機能として示しています。検索結果を集めるだけでなく、同じ集合を分類し、出願人や年、技術分類で読み直せます。
AIセマンティック検索は、文章や図面と意味が近い文献を探す入口です。AI分類予測は、人が付けた教師ラベルを使い、未分類の文献を振り分けます。公式ヘルプは二値、多値、多ラベルの3種類を説明しています。それぞれ、関係の有無、単一分類、複数分類に使います。
生成AIを使うPatentfield AIRは別の役割です。Patentfield AIRの公式説明では、最大1万件の検索母集団を扱います。文献ごとの要約、翻訳、分類、先行文献との対比に加え、集合のポートフォリオ分析も実行します。検索、機械学習による分類、生成AIによる査読は分けて評価します。
定期監視では、検索条件と判定ラベルを残せます。競合分析では、同じ母集団から可視化と代表文献の確認へ進めます。検索から分析までの共通基盤が必要な知財部には、この連続性が選定理由になります。
料金の見通しも立てやすい製品です。2026年8月24日に確認した公式料金表では、法人向けMini 1は税別月額2万円、Corp-XSは5IDで税別月額3万円です。AIR、出力件数増強、専用クラウド、APIは別条件なので、基本料金だけで総額を決めません。
FRONTEOは教師文書から読む順番を作る

KIBIT Patent Explorerの製品ページは、特許公報や発明提案書の請求項などを教師データにし、母集団へ関連性スコアを付けると説明しています。重要な候補から並ぶため、担当者は読む順番を作れます。
この方法は、調査対象を表す良い例を用意できる案件と相性があります。無効資料調査なら、対象請求項と技術的に近い文書を起点にします。先行技術調査なら、発明提案書から特徴が明確な部分を教師データにします。
一方、関連性スコアは新規性や進歩性の結論ではありません。上位文献でも、公開日が基準日前か、請求項の全要素を開示するかは人が確認します。母集団に入っていない文献は、順位付けの対象にもなりません。
製品名とAIエンジンの世代にも注意が必要です。2021年のPatent Explorer X発表は、従来のKIBITからConcept Encoderへ切り替えたと説明しています。検索では「FRONTEO KIBIT」と呼ばれていても、見積もり時には現行製品名、AIエンジン、対象国を確認します。
FRONTEOは、3000件の公報レビューを50時間から5時間へ短縮する例を製品ページに載せています。この数字は同社が示す利用例です。自社の文献や判定基準で得られる時間とは分けて扱います。
公開機能を五つの選定軸へ置き換える

二つの仕組みが分かったら、次は公開機能を導入条件へ置き換えます。両社の公開ページには工数削減の数字がありますが、対象業務と測定条件が違います。削減率が大きい方を勝者にする比較はできません。
第一の軸は母集団です。対象国、公報種別、収録開始年、更新時点が自社調査に合うかを確認します。第二の軸は開始データです。検索条件を作るのか、教師文書を用意するのかで準備作業が変わります。
第三の軸は成果物です。検索集合、分類表、出願傾向の可視化が必要なら、Patentfieldで各成果物を作れる契約か確認します。読む順番と関連段落が必要なら、FRONTEO側のスコアと表示をデモで見ます。
第四の軸は追跡性です。AIが上位にした理由から、公報番号、該当段落、請求項へ戻れるかを試します。第五の軸は運用条件です。ID数と出力条件から基本費用をそろえます。API、専用環境、導入支援、契約期間も総費用へ含めます。
FRONTEO側は公開料金を確認できませんでした。高いとも安いとも推定せず、同じ利用人数と対象データで見積もりを取ります。Patentfieldも公開価格だけでなく、AIRや出力増強を含む条件をそろえます。
同一正解集合のPoCで導入を決める

知財部長が、先行技術調査の確認時間を減らしながら、重要文献の見逃しを増やさない製品を選ぶ場面を考えます。事前仮説は「教師文書から順位を作る方法は、現行検索より少ないレビュー件数で既知の重要文献を拾える」です。
必要な証拠は、全製品で共通する母集団と既知の重要文献です。上位から読んだ件数、レビュー時間、担当者の判定も記録します。重要文献の再現率が現行手順を下回るなら、仮説を退けます。担当者を変えると順位の使い方が崩れる場合も反証です。
PoCは次の順で進めます。
- 過去案件から、法的評価が確定した重要文献を正解集合にします。
- 対象国、期間、公報種別を固定し、同じ母集団を用意します。
- Patentfieldでは検索、AI分類、必要ならAIRを別々に測ります。
- FRONTEO側では教師データと関連性順位を保存します。
- 上位10%、20%、全文確認で、重要文献の再現率と時間を測ります。
集計表の識別列は、製品名、案件ID、公報番号です。評価列には正解ラベル、順位、確認時間を置きます。担当者と誤分類理由も記録します。製品から直接出せない項目はPoC担当者が補い、空欄を推測で埋めません。
許可されたデータだけを使うなら、ChatGPTの新しいチャットへ匿名化したPoC結果CSVを添付し、証拠を整理できます。製品へログインしていても、通常のChatGPTが両製品の画面や契約データを自動で読むわけではありません。
添付CSVだけを使ってください。仮説は「教師文書から順位を作る方法は、現行検索より少ないレビュー件数で既知の重要文献を拾える」です。案件ごとに支持、反証、未確認を分けてください。
上位10%、20%、全文確認の再現率とレビュー時間を計算し、担当者差も示してください。重要文献の再現率が現行手順を下回る案件は反証としてください。最後に「採用」「業務限定で採用」「追加調査」「見送り」の暫定判断を出してください。
AIの集計結果を受け取ったら、公報番号と正解ラベルを原表へ戻して確認します。私なら平均値より先に、重要文献を落とした案件を読みます。導入判断を変えるのは、成功例の件数より、見逃しが起きた条件だからです。
PoC結果を契約条件と人の確認へつなぐ

PoCで候補を絞ったら、その結果を実際の契約条件へ当てはめます。精度と時間が合格でも、収録範囲と出力条件が業務に合わなければ運用できません。PatentfieldはExcelダウンロードの通常上限を1回1000件と案内しています。増強の要否を、実際の母集団件数から決めます。
FRONTEO側では、現行製品で扱う国とデータ収録期間を確認します。教師データの保存先と結果の出力形式は、情報管理の条件として分けて聞きます。初期設定の支援も見積書へ残します。公開ページで分からない項目を「なし」と判断しません。
どちらを選んでも、人は調査目的と基準日を決めます。AIが示した文献では、公開日と優先日を先に確認します。続いてファミリーと法的状態を調べ、請求項の全要素を読みます。侵害や無効などの法的結論は、必要に応じて弁理士や専門調査員へ渡します。
Patentfieldの検索・分析機能を詳しく読む記事と、FRONTEO KIBITの役割と限界を確認する記事では、各製品を個別に解説しています。本記事では、二つの説明を繰り返さず、選定とPoCに範囲を絞りました。
よくある質問
PatentfieldとFRONTEOはどちらが高精度ですか?
公開資料だけでは決められません。同じ母集団と正解集合を使い、重要文献の再現率、読む件数、時間、担当者差を測ります。ベンダーごとに条件が違う削減率は、精度比較に使いません。
定期的な競合特許監視にはどちらが向きますか?
検索条件、分類、可視化を同じ基盤で継続するならPatentfieldが候補です。ただし、監視テーマに既知の重要文書があり、読む順番が課題ならFRONTEO側も同じ正解集合で試します。
無効資料調査ならFRONTEOだけで完了しますか?
完了しません。関連性順位は読む候補を作ります。公開日、請求項の全要素、技術的対応、証拠としての使い方は知財担当者や専門家が確認します。
Patentfield AIRとKIBITは同じ種類のAIですか?
同じではありません。AIRは生成AIで要約、分類、対比、集合分析を補助します。FRONTEOの製品説明は、教師データとの関連性から文献を順位付けする役割が中心です。
二つの製品を併用すべきですか?
業務が分かれる場合は候補になります。ただし、両製品が直接連携すると公開資料だけで仮定してはいけません。定期監視と個別調査を分け、データの受け渡し方法と重複費用を確認します。
調査手法について
こちらの記事はグラフAIリサーチプラットフォームのSnorbeを使って作られています。Snorbeは研究開発・新規事業向けの調査テーマに応じた幅広い項目のオートリサーチや、ナレッジグラフの構築、構造化レポートの生成ができるAIリサーチツールです。

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調査したいテーマを入力するだけで、AIが深堀りすべき観点や広げるべき調査項目をレコメンドしながら、自動でリサーチを進めます。収集した情報はナレッジグラフとして蓄積され、未調査領域(ホワイトスペース)を可視化しながら調査の網羅性を高めていけます。
また、観点マトリクスを30秒・構造化レポートを10分で自動生成する機能があり、出典付きのレポートをMarkdown/PDF形式でエクスポートできます。調査の元データも保存されるため、ファクトチェックや社内共有も容易です。
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