J-PlatPatとは?AI特許調査で検索語と原文確認を分ける方法

J-PlatPatとAI特許調査で検索語の展開と原文確認を分ける方法 ソフトウエア
J-PlatPatと生成AIを組み合わせた特許調査の進め方

メディアを購読する

新しい技術について生成AIへ尋ねると、関連しそうな特許番号や検索語が並ぶことがあります。しかし、その番号が出願公開と登録済みの権利のどちらを示すのかは、AIの回答だけでは確認できません。

候補文献に同じ技術が書かれているかも、公式の特許情報サービスであるJ-PlatPatを開き、公開された原文で確認します。

J-PlatPatで検索した後も、画面の表示だけでは法的な結論を出せません。似た文献が見つからない場合も、誰も出願していないとは限りません。特許番号があっても、現在の権利存続は別に確認します。

AIが技術の説明を検索語へ分け、J-PlatPatで候補文献を探し、人が経過や請求項を読む。この役割分担で調査します。

この記事では、生成AIとJ-PlatPatをどう分担し、検索語を広げながら公式の原文へ戻ればよいかを解説します。検索条件の具体的な組み立て方や、AIを補助に使う調査の手順、出願前の先行技術調査を進める方法を整理します。あわせて、画面から読み取れる事実と、専門家による判断が必要な境界も確認します。

なお、個別の技術が特許になるか、他社の権利を侵害するか、現在の権利が存続しているかを判定する法律上の意見は扱いません。まずは、調査の入口となるJ-PlatPatの基本的な役割から見ていきましょう。

J-PlatPatとは|無料で使える公式の特許情報サービス

J-PlatPatで確認できる特許、実用新案、意匠、商標の情報範囲を示す図

J-PlatPatは、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が無料で提供する特許情報の検索サービスです。INPITの利用上の案内では、特許、実用新案、意匠、商標の公報等とその関連情報をインターネット上で検索・閲覧できると説明されています。

サービスを使う目的は、大きく三つに分けられます。一つ目は公開された公報を探すこと、二つ目は明細書や図面などの技術内容を読むこと、三つ目は出願後の審査の経過や権利の状態を調べることです。令和6年度のJ-PlatPat講習資料でも、文献の基本情報から審査・審判の経過まで、幅広い項目が確認対象として挙げられています

ただし、画面で検索できる情報と、法的に確定した事実は同じではありません。公報に載っているのは、公開された時点での情報です。そのため、検索結果に文献が出たときは、出願の経過や現在の権利状態をあわせて確認する必要があります。J-PlatPatは結論を確定させる機械ではなく、判断に必要な公開情報を探すための入口です。

そのため、「特許があるか」という大まかな質問だけでは、どの画面を使えばよいか決まりません。特定の番号の文献を読みたいのか、自社に似た技術を探したいのかによって、使うべき検索機能が変わります。INPITの利用の手引きでも、目的にあわせて複数の検索サービスが案内されています。まずは何を確認したいのかを決めることが、適切な検索画面を選ぶための第一歩です。

簡易検索と詳細検索|画面を目的で選ぶ

J-PlatPatの簡易検索と詳細検索の使い分けを示す図

何を確認したいかが決まったら、次に目的に合う検索画面を選びます。J-PlatPatのトップ画面には特許・実用新案、意匠、商標などを探せる簡易検索がありますが、対象が限定的であると案内されています。そのため、簡易検索で結果が少ないからといって、すぐに該当する特許が存在しないと判断することはできません。

漏れを減らして詳しく調べたいときは、特許・実用新案検索など、権利の種類に対応した検索画面を使います。特許庁の案内は、検索項目とキーワードや日付を指定し、結果一覧から文献を開く流れを示しています。

公報番号や出願番号が分かっているなら、特許・実用新案番号照会/OPDから始めます。番号の種類を選んで検索すると、キーワードだけで探す場合より対象文献を取り違えにくくなります。

INPITの利用の手引きは、OPDを対象出願に関係する海外庁の手続・審査情報を確認する入口として案内しています。

番号で検索するときは、番号の種類に注意します。出願番号は出願を管理する番号、公開番号は出願内容が公開された公報の番号、特許番号は登録後の権利を示す番号です。番号の種類が分かれているのは、文献が発行されるタイミングと役割が違うからです。

国立国会図書館の解説が示すように、日本の特許出願は原則として出願から1年6か月後に公開されます。公開特許公報は出願の内容を社会に知らせるための文献であり、公開の時点で特許権が成立したことを意味しません。審査を経て登録された後に発行される特許公報とは別の文献です。

一つの発明に対して、出願、公開、登録の段階ごとに複数の番号が付くことがあります。そのため、検索結果に番号が出たときは、番号だけを見て登録済みだと判断せず、文献の種類と審査の経過を一緒に確認します。手元にある情報が番号なのか技術の言葉なのかを整理して画面を選んだら、次は検索条件を具体的に組み立てていきます。

検索条件の組み立て|番号・キーワード・出願人・分類

番号、キーワード、出願人、分類から特許文献を探す流れを示す図

検索画面を開いたら、まずは手元にある確実な情報から検索項目を埋めていきます。技術の特徴が分かるならキーワード、会社名なら出願人、技術分野に見当がつくなら特許分類を選びます。最初からすべての項目を埋めようとする必要はありません。

出願人の名前は名称の変更や共同での出願によって表記が揺れますし、キーワードには同義語や略称による漏れがあります。INPITの講習資料でも、キーワード、分類、出願人を組み合わせ、検索結果の文献を実際に読んで条件を修正する流れが示されています。一度の入力で完璧な結果を出すのではなく、条件を直しながら候補を絞っていくのが基本です。

キーワード検索では、技術の説明文を構成要素に分けます。新しいセンサーなら、検出対象と材料、処理方法、配置、用途に分解します。

候補文献の要約や明細書を読み、別の表現があれば次の検索語に追加します。

検索条件は、広く拾ってから少しずつ狭めます。J-PlatPat操作マニュアルにある「OR」で同義語をまとめます。

必要な要素は「AND」で加え、明らかなノイズは「NOT」で除外します。NOTを加える前後の結果を読み比べ、目的の文献まで外していないか確認します。

キーワード検索の弱点を補うために、技術内容を一定の体系で整理した特許分類も活用します。PMGS分類検索の画面を開き、FIやFターム、IPCといった分類名と、その定義を確認します。分類名が分かったら、それをキーワードと組み合わせて検索します。分類検索にも分類への理解不足による漏れがあるため、キーワードと両方を使うことでお互いの弱点を補います

このように、文献を読んで新しい表現や分類を見つけ、何度も再検索する反復作業が特許調査の中心になります。しかし、構成要素を分解して大量の同義語を考え出したり、関連する言葉を探したりする作業は手間がかかります。そこで、検索に使う言葉を広げる段階でAIの力を借りる手順へ進みます。

AIでJ-PlatPatを調べる方法|検索語の展開と原文確認を分ける

検索に使う言葉を考える作業では、生成AIを補助に使えます。対象、材料、処理、用途といった要素をAIに渡し、同義語や英語表現の候補を出させます。

AIが担当するのは、検索条件の候補作りです。実際の文献の存在や内容は、J-PlatPatで確かめます。

たとえば「画像から部品表面の傷を検出する装置」を調べる場合、AIに技術説明を渡し、対象や検出手段、処理などの要素に分けさせます。そして、それぞれの同義語や上位概念、下位概念を挙げさせます。このとき、実在する特許番号や分類コードを推測させないように指示します。

AIの回答は検索式の下書きとして使います。示された語を一度にすべて検索するのではなく、対象と手段の組み合わせから検索を始めます。検索結果の文献を実際に読んで条件を修正し、候補を絞り込んでいきます。もしAIが分類コードの候補を出したとしても、そのまま使わず、必ずPMGS分類検索で定義と階層を確かめてから条件に加えます。

候補文献が増えたら、J-PlatPatで確認した書誌事項と、比較対象にする請求項部分をAIへ渡し、比較表の下書きを作ります。文献番号、公開日、確認したい請求項を列として指定します。

AIの表だけで文献の類似性を決めず、人がJ-PlatPatの原文を開き、請求項の要素を確かめます。

AIが作った要約と、J-PlatPatの原文で確認した事実は分けて記録します。AIの出力だけでは、文献番号や請求項の記載を確認したことになりません。

調査記録には、J-PlatPatで確認した文献番号、検索日、検索条件を残します。

まだ公開されていない発明の内容を外部の生成AIに入力できるかどうかは、所属する組織のルールやAIサービスの契約条件によって決まります。入力が認められていない場合は、固有名詞を伏せるだけで済ませず、承認された環境を使うか、AIを使わずに検索語を整理します。これは、調査の速さよりも優先して守るべき境界です。

AIを使った調査の成果は、AIが書いた説明文ではありません。別の人が後から判断の根拠を追えるように残した、再実行できる検索条件と原文で確認した候補文献の一覧です。AIが検索語を広げ、人がJ-PlatPatへ戻って事実を確かめるという往復を記録したら、次は出願前の先行技術調査として、さらに詳しく文献を読み込みながら再検索を進めます。

出願前の先行技術調査|文献を読みながら再検索

出願前の先行技術調査で特許文献を読みながら再検索する流れを示す図

特許を出願する前には、同じ技術がすでに公開されていないか先行技術を調査します。特許庁の特許制度案内では、出願前に関連する公開情報を確認する入口としてJ-PlatPatが案内されています。この調査の主な目的は、発明に近い公開文献を探し、別の表現や関連する特許分類を見つけることです。

調査は、次の順序で進めると後から再実行しやすくなります。

  1. 発明の中心となる構成を、対象、手段、処理、用途に分けます。
  2. 既知の番号があれば番号検索を行い、なければキーワードで候補を広く拾います。
  3. 候補文献の要約、請求項、明細書、図面を読み、分類と同義語を記録します。
  4. 追加した言葉と分類で再検索し、出願人や関連番号も確認します。
  5. 重要文献の公開日、出願日、文献種別、経過情報を分けて残します。

この作業において、「候補の文献が見つからない」ことと「先行技術が存在しない」ことは同じではありません。使う検索語や対象の範囲によって結果は変わるため、検索は一度で終わらせず条件を変えながら繰り返します。J-PlatPatトップ画面の注意書きやINPITの講習資料からも、文献を読みながら検索語と分類を更新し続ける手順が読み取れます。

そのため、検索結果の件数が少ないことを調査の成果にするのではなく、次に使う検索語や分類を増やせたかを確認します。INPITのQ&Aでも、最初の予備検索は本格的な検索に使うキーワードや分類を探すことが目的だと説明されています。

社内で共有する調査票には、検索日、使用画面、検索語、分類を記録します。対象期間、文献番号と種類、確認する請求項も同じ調査票に含めます。

未確認事項は空欄にせず、その状態を明記します。知財担当者や開発担当者が同じ条件をたどれるため、専門家への相談にも使えます。

OPDで海外の手続・審査情報を見つけても、その情報だけでは日本での権利範囲や現在の状態を確定できません。J-PlatPatの検索結果と法的な結論を分けて記録すると、検索結果を個人の判断だけで法的な結論へ変えるのを防げます。

次に、検索結果から確認できる事実と、画面からは判断できないことの境界を整理します。

法的状態と検索結果の境界|確認できる事実とできない判断

J-PlatPatで検索できる事実と法的判断を分ける境界を示す図

文献を集めた後は、画面で確認できる情報と、そこから行う判断を分けます。INPITの利用案内は、公報と関連情報を検索・閲覧できると説明しています。

INPITの講習資料は、書誌事項と請求項、明細書・図面、審査・審判の経過、権利状態を確認対象として挙げています。これらは候補文献を整理し、専門家へ相談する資料に使えます。

機械翻訳やAIが作った要約は、候補文献の全体像を素早くつかむ助けになります。しかし、機械翻訳には不備や情報の誤りがあり得るため、請求項などの重要な限定を判断するときは原文を確認します。特許庁のFAQでも、機械翻訳を利用できるものの、公報の種類によって収録年の範囲が異なることが示されています。技術の範囲や法的な結論を出すときは、原文を根拠にします。

近い公開文献が見つかっても、その発明が特許になるかは確定しません。特許庁のFAQは、特許性を判断するのは審査官であり、出願前に取得可否を判定できないと説明しています。

個別製品が特許権を侵害するかという判断は、本記事の範囲外です。J-PlatPatでは、判断に使う公開情報を探します。

INPITのQ&Aは、画面に表示される経過情報や法的状態について、実際の状態が反映されるまでに時間差があり得ると説明しています。利用上の案内にも、最新性や法的状態の表示に関する免責があります。

権利の存続・放棄・移転や年金納付が発売・契約に影響する場合は、INPITの講習資料が示す登録原簿などで最新情報を確認します。

調査記録では、「検索できない」「見つからない」「存在しない」を分けます。本記事では、対象範囲、番号種別、画面機能などの制約で確認できていない状態を「検索できない」と記録します。

J-PlatPatトップ画面は、簡易検索の対象が限定的だと案内しています。実行した検索条件と対象範囲で候補文献を確認できなかった状態は「見つからない」と記録します。

公開資料だけで「存在しない」と原則断定しません。INPITの利用案内が示すように、J-PlatPatの検索機能と情報には範囲や更新上の制約があります。

調査記録には、検索できた範囲、候補が見つからなかった条件、未確認の範囲を分けて残します。

よくある質問

Q1. 調査目的の一文はどんな形式で書きますか?

「対象=技術・番号・出願人、期間=開始日から終了日、用途=出願準備・経過確認・社内共有」の3項目で書きます。未定の項目は空欄にせず「未定」と残します。

Q2. 検索条件を変えるときは何を残しますか?

変更前後の検索語、分類、対象期間、結果件数を残します。候補文献を読んで追加した同義語や分類には、根拠にした文献番号も付けます。

Q3. 候補なしの結果はどんな形式で残しますか?

「検索日=○年○月○日、画面=特許・実用新案検索、対象期間=○年〜○年、条件=検索式、結果=候補0件」と残します。条件を変えた試行は別行にします。

Q4. 出願人名に表記揺れがある場合はどうしますか?

現在の名称だけで終えず、旧名称、共同出願人、権利者の表示も確認します。名称を変えるたびに検索条件を保存し、同じ文献を重複して数えないよう番号で照合します。

Q5. 特許分類の候補はどう確かめますか?

PMGS分類検索で定義と上位・下位の関係を読みます。その分類が付いた候補文献も開き、調べたい技術との対応を確認してから検索条件へ加えます。

Q6. 専門家へ渡す前にどこを照合しますか?

引用した記載が、文献番号と請求項番号または明細書の段落番号に対応しているかを照合します。公開日、経過情報の確認日、未確認事項も資料上で区別します。

Q7. AIが出した検索語候補はどの欄に保存しますか?

「AI候補語」「採用・不採用」「判断理由」の3欄に保存します。J-PlatPatへ入力した語は「実行した検索式」、原文で確認した内容は「確認文献・該当箇所」の欄へ分けます。

調査手法について

こちらの記事はグラフAIリサーチプラットフォームのSnorbeを使って作られています。Snorbeは研究開発・新規事業向けの調査テーマに応じた幅広い項目のオートリサーチや、ナレッジグラフの構築、構造化レポートの生成ができるAIリサーチツールです。

Screenshot

調査したいテーマを入力するだけで、AIが深堀りすべき観点や広げるべき調査項目をレコメンドしながら、自動でリサーチを進めます。収集した情報はナレッジグラフとして蓄積され、未調査領域(ホワイトスペース)を可視化しながら調査の網羅性を高めていけます。

また、観点マトリクスを30秒・構造化レポートを10分で自動生成する機能があり、出典付きのレポートをMarkdown/PDF形式でエクスポートできます。調査の元データも保存されるため、ファクトチェックや社内共有も容易です。

ご利用をご希望の方は、こちらよりお申し込みください。

また、グラフAIを活用した社内ナレッジ管理や、研究開発・新規事業のリサーチ支援、セルフホスト導入のご相談も受け付けています。お困りの方はお気軽にご連絡ください。

メディアを購読する

ソフトウエア官公庁・公社・団体
冨田到をフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました