YC Fall 2025の全体像とYCからのリクエスト

今回はYCのF25のスタートアップを調査して、AIスタートアップのトレンドをまとめてみました。結論から言うと、世界最高峰のアクセラレーターY Combinator(YC)の2025年秋バッチ(Fall 2025)は、「AIを機能として上に乗せる」のではなく、「事業の前提としてOSのように下から支える」スタートアップが主役になった、そんな気がしています。
これまでのように単発のチャット体験を実装するのではなく、業務の骨組み、産業インフラ、そして日々の運用の隙間をAIが埋めていく。どうやら、この大きな地殻変動を前提にしないと、今回のバッチの全体像は見誤ってしまいそうです。
まずは、その輪郭から見ていきましょう。
バッチの全体像:AIがデフォルトになった世界
2025年10月から12月にかけてサンフランシスコで開催されている今回のバッチは、約150社規模とされていますが、その内実は驚くべきものになっています。公開されている企業リストを分析すると、実に131社、全体の91%がAIを事業の中核に据えています。
もはやAIは選択肢ではなく、スタートアップにとっての標準装備、いわば呼吸をするのと同じレベルの前提になったようです。
この傾向は、他のデータからも見て取れます。
- 地理的な偏在: 所在地が明らかなAIスタートアップ115社のうち102社(約89%)がベイエリアに集中しており、外部メディアの分析では米国籍企業が65社に対して欧州はわずか5社と、才能と資本の米国一極集中がさらに加速している様子がうかがえます。
- ファウンダー層の若返り: YC全体で創業者の年齢中央値が30歳から24歳に下がり、18〜22歳の若い創業者も急増しているとのこと。AIネイティブ世代が、いよいよ歴史の表舞台に登場してきたのかもしれません。
この状況を「スタートアップを家に喩えると、AIはドアではなく“基礎(foundation)”になった」と表現されています。まさに今回のバッチは、AIという新たな基礎の上に、どのような産業や社会を再構築できるかを問う壮大な実験場となっているのではないでしょうか。
YCが描く未来図:Requests for Startups(RFS)の狙い
この大きな潮流は、YC自身が意図して仕掛けているものでもあります。彼らが公開している「スタートアップへの要望書(Requests for Startups)」には、今回のバッチで何を求めているかが明確に記されています。
注目すべきは、そのテーマが単なるアプリケーションレベルの話にとどまっていない点です。
- 10人で時価総額1000億ドル企業: 新しいAIツールを前提に、極めて少人数のチームで圧倒的な生産性を実現するスタートアップを本気で探していると公言しています。これは、組織のあり方そのものを問い直すテーマです。
- 動画生成を“基本プリミティブ”にする: テキストと同じくらい当たり前に、動画をソフトウェアの基本部品として扱う世界を前提としたプロダクトやインフラを求めています。これは、ユーザーインターフェースやコンテンツの概念を根底から変える挑戦でしょう。
- マルチエージェントシステムのインフラ: 複数のAIエージェントが連携して長時間・大規模なタスクをこなす未来を見据え、そのためのオーケストレーションやセキュリティといった「配線」を整備するインフラ企業を渇望しています。
- AIネイティブなエンタープライズソフトウェア: Salesforceが「クラウドネイティブ」であったように、最初からAIを前提として設計された新しい業務SaaSの登場を期待しています。
ざっくり言うと、「AIで便利なチャットボットを作りました」というレベルではなく、「AIによって変わるであろう産業構造や社会インフラそのものを作ってくれ」という、YCからの強烈なメッセージがそこには込められています。
このメッセージは、F25バッチに参加するスタートアップたちに確かに届いているようです。彼らが取り組むのは、既存のワークフローにAI機能を「追加」することではありません。むしろ、AIエージェントが自律的に働くことを前提として、業務プロセス、インフラ、さらには組織のあり方までを再定義しようとしています。

次のセクションでは、この地殻変動を具体的に体現するスタートアップたちが、産業の現場でどのような「AIネイティブOS」を構築しようとしているのか、その最前線を詳しく見ていくことにしましょう。
ワークフローを丸ごと奪う「AIネイティブOS」の勃興:産業特化エージェントと動画プリミティブ化の最前線

前章で、AIが単なる「機能」から事業の土台となる「OS」へと変化している、という大きな地殻変動について触れました。では、AIがOSとして機能するとは、具体的にどういうことなのでしょうか。その答えは、YC F25に参加するスタートアップたちの野心的な試みの中にありました。どうやら彼らは、二つの大きな方向から、既存の産業構造を根底から再設計しようとしているようです。
一つは、特定の業界のワークフロー全体を丸ごと引き受ける「AIネイティブOS」の構築。もう一つは、動画を単なるコンテンツではなく、業務を構成する「基本部品(プリミティブ)」として扱う世界の実現です。
産業特化の「AIネイティブOS」
今回のバッチで最も顕著なのは、単一のタスクを自動化するツールではなく、特定の業界、特に規制が厳しくプロセスが複雑な産業のバックオフィス業務全体を掌握しようとするAIエージェントの登場です。彼らは、既存のSaaSの上に新たなオペレーションレイヤーを被せることで、事実上の「AIネイティブOS」として機能しようとしています。
例えば、財務領域で注目されるZalosは、まさにその象徴です。彼らが提供するのは、新しいダッシュボードではありません。給与処理や請求書の照合といった反復的な財務タスクをこなすために、既存のERPやウェブサイトに人間のように直接ログインして作業する自律型コンピュータエージェントです。これは、企業が使い慣れたシステムをそのままに、その上で動く「デジタルの従業員」を導入するようなもので、業務の進め方そのものをAIが担うという思想が根底にあります。
同様のアプローチは、他の規制産業にも広がっています。商業保険の世界では、Caseyが業界最大のボトルネックである「提出ワークフロー」に狙いを定めています。ブローカーがクライアント情報やリスクデータを、PDF、ポータル、保険会社のフォームといった異なる形式の書類に何度も再入力する手作業をAIが代替します。これにより、保険証券の発行にかかる時間が1ヶ月以上から数日へと劇的に短縮されるというのですから、これは単なる効率化ではなく、業務プロセスの革命と言えるでしょう。
医療業界も例外ではありません。医療請求の現場では、いまだに電話でのやり取りが大きな比重を占めています。LunaBillは、この電話応対のワークフローをAI音声エージェントで自動化します。レガシーなインターフェースさえもAIの管理下に置くことで、ヒューマンエラーを減らし、スタッフがより専門的な業務に集中できる環境を作り出そうとしています。
これらのスタートアップに共通するのは、単機能のアプリを提供するのではなく、業務の土台となるルールやプロセス自体をAIが実行するOSになろうとしている点です。どうやら、AIはアプリケーション層の主役の座を狙っているようです。
動画を業務の「基本部品」にする
YCがRFS(Requests for Startups)で「動画生成を“基本プリミティブ”にする」というテーマを掲げたように、今回のバッチでは動画の役割を根本から捉え直す動きが加速しています。動画はもはや、人間が視聴して楽しむためだけのコンテンツではありません。ビジネスプロセスを構成し、API経由で呼び出し可能な「基本部品(プリミティブ)」へと変わりつつあるのです。
その最も分かりやすい例が、中古品売買のプロセスを変えるSellRazeです。ユーザーが売りたい商品を写真や動画で撮影するだけで、AIが商品を識別し、適正価格を判断し、説明文を書き、複数のマーケットプレイスに自動で出品します。ここでは、動画は単なる商品紹介ではなく、商取引プロセスを開始するための「入力データ」そのものになっています。30分以上かかっていた作業が数秒で終わるというのですから、フリマアプリの使い方が根本から変わるかもしれません。
プロの映像制作の現場でも、同じ思想が見られます。Narrativeは、結婚式などで撮影された数千枚の写真や数百時間の動画素材を知能的に処理します。AIが最高のショットを自動で選別し、編集のラフカットを組むことで、クリエイターは退屈な整理作業から解放されます。ここでは、膨大な動画素材が「処理可能なデータ」として扱われ、編集という創造的なワークフローの効率を最大化するための部品となっているのです。
広告の世界では、さらにその動きが加速します。Absurdは、スタートアップのローンチ動画に特化し、X(旧Twitter)でバイラルしやすい「不条理で奇抜な」AI動画広告を量産しています。1本あたりの平均視聴回数が30万回を超えるという実績も驚きですが、重要なのは、動画広告が「高速に生成・テスト・拡散」というサイクルを回すための構成要素になっている点です。
アプリケーション層で起きているこの二つの大きなうねり、すなわち「産業特化OS」の勃興と「動画のプリミティブ化」は、AIが私たちの仕事や生活の隅々にまで浸透していく未来を予感させます。
しかし、これらの自律的に動作するAIエージェントや、動画を自在に操る新しいアプリケーションは、一体どのようなインフラの上で動いているのでしょうか。次のセクションでは、このAIネイティブな世界を支える、水面下の「配線」を巡る新たな戦いの最前線に迫ってみたいと思います。
エージェント時代の“配線”を制する者たち:記憶・権限・決済・監視の新インフラ戦争

前章では、財務や医療といった専門領域のワークフロー全体をAIが担う「産業特化OS」や、動画を業務の基本部品として扱う新しいアプリケーションの勃興を見てきました。これらは、AIが私たちの仕事の進め方を根底から変えようとしている、いわば氷山の「海上」部分です。
しかし、これらの賢いエージェントたちが自律的に、そして安全に動き回るためには、水面下でそれらを支える全く新しいインフラストラクチャ、つまり「配線」が不可欠です。どうやらYC F25のもう一つの主戦場は、このエージェント経済の基盤となる配線を誰が握るのかを巡る、静かながらも熾烈なインフラ戦争にあるようです。記憶、権限、決済、そして監視。これらの新しい土台を制する者が、次の時代の覇権を握るのかもしれません。
エージェントに「長期記憶」を与える
現在のAIエージェントが抱える根本的な課題の一つに、「記憶の欠如」があります。どんなに優れた対話ができても、セッションが終われば過去のやり取りを忘れ、まるで初対面のように振る舞う。これでは、単発のタスクをこなすツールにはなれても、文脈を理解し、共に成長する「同僚」にはなれません。
この課題に正面から挑んでいるのが、Hyperspellです。彼らは、AIエージェントに「メモリー」を提供することをミッションに掲げています。具体的には、Slack、Gmail、Notion、Driveといった企業内のナレッジソースに接続し、組織全体の情報を横断して想起、推論、記憶できる統合メモリーレイヤーをAPIとして提供します。これにより、開発者は断片的な知識しか持たないエージェントを、業務の全体像を理解する真の「AI同僚」へと進化させることができるようになります。創業者たちが自らエージェントを構築する中で感じた「メモリーなしのAIの限界」から生まれたこのアイデアは、エージェントの能力を一段上のレベルへ引き上げるための重要な部品となりそうです。
「暴走」を防ぐための権限管理
エージェントが賢くなり、自律的に行動できるようになるほど、新たなリスクが生まれます。それは「権限」の問題です。AIエージェントに企業の機密情報や基幹システムへのアクセスを許可することは、便利な反面、意図せぬ行動や悪意ある攻撃による「暴走」の危険性をはらんでいます。
この重大なセキュリティギャップを埋めようとしているのが、MultifactorやAgentic Fabriqのようなスタートアップです。Multifactorは、AIエージェント向けのゼロトラスト認証・認可・監査技術を提供します。ユーザーはエージェントにオンラインアカウントを安全に共有でき、細かい権限設定や詳細なイベント履歴の管理が可能になります。特に、プロンプトインジェクションのような攻撃を阻止する特許取得済みのAIセキュリティ技術は、彼らの大きな強みでしょう。
一方、Agentic Fabriqは「エージェントのためのOkta」というコンセプトを掲げ、従業員が持つ権限をエージェントが決して超えられない仕組みを構築します。最小権限の原則をデフォルトとし、全てのアクションをログに記録することで、企業は安心してエージェントを業務に組み込むことができるようになります。どうやら、エージェントが普及するための前提条件として、堅牢なセキュリティとガバナンスの仕組みが不可欠だと考えるプレイヤーが増えているようです。
AIがお金を使う未来の決済レール
エージェントが自律的にタスクをこなし、外部のサービスを利用するようになれば、当然そこには「支払い」が発生します。しかし、既存の決済システムは、あくまで人間が使うことを前提に設計されています。AIエージェントが経済活動の主体となる未来には、全く新しい決済インフラが必要になるのではないでしょうか。
この未来を見据えているのが、Locusです。彼らは、AIエージェント向けの「決済インフラ」を構築しています。開発者は、エージェントが安全に資金を扱えるように、「1日の上限は500ドルまで」「特定のベンダーのみ利用可能」といった明確な利用条件を定義できます。Locusは、エージェントのアイデンティティ、予算、権限、そして完全な監査証跡を管理する制御レイヤーを提供することで、自律システムが安全にお金を使える世界を実現しようとしています。これは単なるツールではなく、AIが経済に直接参加するための新しい「レール」を敷く試みと言えるでしょう。
RAGの次を探す、新たな検索アーキテクチャ
多くの企業がAIに自社データを扱わせるためにRAG(検索拡張生成)を採用していますが、その検索品質の不安定さやチューニングの複雑さに悩まされています。企業知識の90%が非構造化データとして眠っている現状では、より信頼性の高い検索技術が求められています。
この課題に対して、RAGの代替となりうる野心的なアプローチを提示しているのがCaptainです。彼らは、「事実上無限のコンテキストウィンドウ」を実現する汎用知識検索エンジンを開発しています。その仕組みは、多数のLLMを並行して分散実行させ、エンベディングと組み合わせてMap-Reduceの手法で一つの回答に統合するというものです。これにより、従来のRAGが苦手としていた複雑な問いに対しても、高い精度で網羅的な回答を生成できると主張しています。RAGのエンジニアリングを完全に抽象化し、ファイルを接続するだけで既存の仕組みを超える精度を保証するというのですから、企業の情報活用に新たな地平を拓く存在になるかもしれません。
このように、記憶、権限、決済、検索といったエージェント時代の新しい「配線」が、私たちの見えないところで急速に整備され始めています。これらのインフラが整うことで、前章で見たアプリケーション層のエージェントは、その能力をさらに解放していくことになるでしょう。
では、この大きな変化の波を前にして、日本の起業家や新規事業担当者は、具体的にどのような一歩を踏み出すべきなのでしょうか。次の最終章では、これらのトレンドから学び、明日から使える実践的な戦略について考えてみたいと思います。
明日からどう動くべきか?YC F25から学ぶ、日本のための実装戦略

これまでの章で、私たちはYC Fall 2025が示す大きな地殻変動の姿を追いかけてきました。産業のワークフローを根こそぎ奪おうとする「AIネイティブOS」の勃興から、その足元を支える記憶、権限、決済といった新しい「配線」を巡るインフラ戦争まで。どうやらAIは、単なる便利な「機能」から、ビジネスのあり方を規定する「OS」そのものへと、その役割を静かに、しかし確実に変えつつあるようです。
では、この巨大な変化の波を前に、日本の起業家や企業の新規事業担当者は、ただ呆然と眺めているしかないのでしょうか。決してそんなことはないはずです。YC F25の最前線から見えてきた兆候は、むしろ日本のビジネス環境にこそフィットする、具体的な次の一手を示唆してくれているように思えます。この最終章では、これまでの分析を踏まえ、明日から私たちが実践すべき6つの実装戦略を考えてみたいと思います。
既存OSの上から始める
日本企業の多くは、長年使い続けてきたERPや業界特有のポータルサイト、そしてメールや電話といったコミュニケーション手段から、すぐには離れられません。全く新しいOSを導入するのは、現実的ではない場面も多いでしょう。しかし、YC F25のスタートアップたちは、その制約を逆手にとるアプローチを示しています。
その一つが、既存のシステムにログインして、人間の操作を模倣するという考え方です。財務オペレーションを自動化するZalosは、新しいダッシュボードを導入するのではなく、既存のERPやウェブサイトに直接ログインして、照合や分類、フォーム入力を実行します。また、ブラウザ自動化プラットフォームのDariも、人間のブラウジング手順そのものを置き換えることで、信頼性の高い自動化を実現しようとしています。
これは、日本の現場にとって非常に示唆に富むのではないでしょうか。まずは既存の業務フローを壊さずに、その上で動くAIエージェントを導入する。この「上から被せる」戦略こそ、変化への抵抗が大きい環境で初速を生み出すための、最も現実的な一歩かもしれません。
自律性のダイヤルを設計する
「AIに全てを任せるのは怖い」という感覚は、特にリスク管理に厳しい日本のビジネス文化において、無視できない重要な要素です。しかし、自律性を完全に否定する必要はありません。重要なのは、業務のリスクに応じて自律性のレベルを調整できる「ダイヤル」を設計に組み込むことです。
この思想を体現しているのが、ソフトウェアエンジニア向けのコーディングエージェントであるCompyleです。彼らはあえて「行動前に確認を求める、低自律エージェント」という道を選びました。これは、コードの所有権と監査可能性をエンジニアの手に残すための戦略的な選択です。
法務、監査、財務といった領域でも同様に、「AIによる提案→人間による承認→自動実行」というループが、当面の最適解となるでしょう。すべてのプロセスを一度に完全自動化しようとするのではなく、まずは人間の判断を介在させる半自律の仕組みから始める。この堅実なアプローチは、保守的な市場ではむしろ信頼を勝ち取るための武器になるはずです。
電話の自動化を軽視しない
デジタルトランスフォーメーションが叫ばれる一方で、日本のビジネス、特に中小企業や地方においては、いまだに「電話」が極めて重要なコミュニケーションチャネルです。そして、この一見レガシーに見える領域にこそ、AIエージェントが即座に価値を発揮できる大きな機会が眠っています。
YC F25では、この領域を狙うスタートアップが複数登場しました。医療請求の電話応対を自動化するLunaBill、ホテルが取り逃した電話を予約に繋げるCodyco、ホームサービス企業の見込み客対応を自動化するBraviなど、音声AIエージェントは即効性の高いソリューションとして注目されています。あなたの会社では、毎日どれだけの電話応対に時間が費やされているでしょうか。その一部をAIに任せるだけで、チームはより創造的な業務に集中できるかもしれません。
PLGと伴走支援を組み合わせる
YC F25の多くのB2Bスタートアップは、ウェブサイトから誰でもすぐに試せるProduct-Led Growth (PLG)を入り口としつつ、規制産業や大企業に対しては手厚い導入支援を行うハイブリッドモデルを採用しています。Extruct AIの分析によれば、特に医療や監査といった分野ではこの傾向が顕著です。
これは、日本の市場にも応用できる賢い戦略ではないでしょうか。まずは無料で試せるツールやAPIを提供して、現場の担当者にその価値を体感してもらう。そして、本格的な導入フェーズでは、業界特有の規制や複雑な業務フローに合わせた丁寧なコンサルティングやカスタマイズを提供する。UIの手触りはPLG、しかしデリバリーは伴走支援。この二段構えこそが、日本の複雑な市場を攻略するための鍵となりそうです。
未来の“配線”を前提に設計する
前章で見たように、エージェント経済の基盤となるインフラ、つまり「配線」の整備が急速に進んでいます。記憶、権限、決済、監視、QAといった領域で、HyperspellやMultifactor、Locusのような専門プレイヤーが登場しています。
これから新しい事業を設計するならば、これらの基盤部品を最初から利用することを前提にアーキテクチャを考えるべきです。すべてを自前で開発するのではなく、これらの専門SaaSを組み合わせることで、開発速度を上げ、将来の拡張性を確保できます。あなたの作るAIエージェントは、どのようにして過去のやり取りを記憶し、安全に権限を行使し、支払いを行い、その行動が監視されるのでしょうか。この問いに答えるだけで、事業の解像度は格段に上がるはずです。
動画を業務の基本部品にする
YCがRFSで「動画をプリミティブ(基本部品)に」と投げかけたように、動画はもはや単なるマーケティングコンテンツではありません。業務フローに深く組み込まれるべき、必須のパーツになりつつあります。
プロ向けの大量編集基盤を提供するNarrative、動画から中古品の出品を自動化するSellRaze、バイラル動画広告を量産するAbsurd。彼らが示しているのは、単に動画を作るだけでなく、「動画を前提とした業務運用」を設計することの重要性です。ECサイトの商品説明、SaaSの機能デモ、社内トレーニング資料。あらゆる場面で、テキストや静止画だけでなく、パーソナライズされた動画を動的に生成し、活用する未来がすぐそこまで来ています。
AIは「ツール箱の中の一つの道具」ではなく、「家を建てるための基礎」になった。YC F25が突きつけるこの現実を前に、私たちは変化に適応していかなければなりません。
さて、あなたの現場では、どのプロセスからAIエージェントに任せることができるでしょうか。どの業務であれば、90日以内に「提案→承認→自動実行」のサイクルを回し始めることができるでしょうか。そして、どの「配線」を先に固定すれば、来年の拡張に耐えうる頑健な事業を築けるでしょうか。
この問いに答えを見つけることこそ、AIというOSの上で、次の時代を生き抜くための最初の、そして最も重要な一歩となるはずです。
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