この記事の結論
論文サーベイとは、特定の研究テーマについて先行研究をまとめて把握する行為、あるいはその成果をまとめた文章のことです。似た言葉に文献レビュー、スコーピングレビュー、系統的レビュー(systematic review)がありますが、目的と厳密さのレベルが違います。
この記事では、混乱しがちな用語を4つに整理したうえで、論文サーベイを「探索→精読→比較整理」の3層構造に分解して、どの層をAIで効率化できるのかまでを一気につなぎます。修士論文の書き始めから企業R&Dの企画立案まで、実務のどこで論文サーベイが使われているかがつかめる内容を目指しました。
- 対象読者: 大学院生、企業R&D企画・知財担当、修士論文の執筆に取りかかっている初学者
- 読了時間: 約9〜11分
- 前提知識: 不要(中学生でも読める平易さを心がけています)
1. 論文サーベイとは何を指す言葉か

論文サーベイとは、ある研究テーマについて「これまでにどんな論文が出ているか」を体系的にまとめる作業のことです。研究を始めるとき、修士論文の第1章を書くとき、企業で新規事業のテーマを探すとき、必ず最初にやる作業ですね。
英語圏の学術世界では literature review が近い意味で使われますが、日本語の「論文サーベイ」は少しニュアンスが違います。慶應SFCの先行研究調査の重要性というガイドでは、情報分野で「サーベイ」という言葉が使われる背景として、研究のオリジナリティを担保するために必須のプロセスだと位置づけられています。
サーベイ論文とレビュー論文は微妙に違う
日本語で「サーベイ論文」「レビュー論文」「総説論文」といった呼び方が飛び交いますが、実は微妙な差があります。インディ・パの解説によれば、次のような使い分けがあるようです。
- サーベイ論文は解説的および基礎的アプローチを取る傾向がある
- レビュー論文は比較および評価のアプローチを取る傾向が強い
- 総説論文(Wikipedia)は、既に公表された題材を再提示する論文全般
つまり、サーベイ論文は「この分野には何がありますか?」を広く解説するもの、レビュー論文は「どれが優れていますか?」を比較評価するもの、というイメージですね。
実務で「論文サーベイをする」と言うときは、成果物としての論文よりも、先行研究を全部読んでまとめる作業そのものを指すことが多いです。修士論文を書く前段の作業、と言い換えるとしっくり来る方が多いのではないでしょうか。
なぜ今、論文サーベイの用語整理が必要なのか
生成AIの登場で、論文サーベイ関連のツールが一気に増えました。Elicit、Consensus、SciSpace、Perplexityなどの名前を目にする機会が増えたと思います。ところが、ツール比較記事を読んでも「これって文献レビューと同じ?」「PRISMAって毎回やるの?」という疑問が残ることが多いんです。
この記事では、まず用語を4つに整理してから、論文サーベイをプロセスとして3層に分解します。AIで効率化される層がどこなのかまでつかめれば、ツール選びで迷わなくなるはずです。
なお、実際のやり方や具体的な手順は論文サーベイのやり方|AI実演で見る文献レビュー効率化の型で、ツール比較は論文サーベイAIおすすめ7選でカバーしていますので、そちらも合わせてどうぞ。
2. 4つのレビュータイプ|文献レビュー・スコーピング・系統的レビューの違い

「論文サーベイ」と一括りにされがちですが、学術世界には目的と厳密さのレベルが違う4種類のレビュータイプがあります。名前だけ聞くと難しそうですが、順番に整理すればスッキリしますね。
4種の役割マップ
| 種類 | 目的 | 手法の厳密さ | 使う場面 |
|---|---|---|---|
| 文献レビュー(narrative review) | 主題に対する既存文献の解説 | 低〜中 | 教科書、総説論文、修士論文の第1章 |
| スコーピングレビュー | エビデンスの幅と深さを地図化 | 高(体系的だが評価は行わない) | 系統的レビューの前段、概念整理 |
| 系統的レビュー(systematic review) | 特定の問いに対する厳密なエビデンス合成 | 最高(バイアスリスク評価含む) | 臨床ガイドライン、政策決定 |
| メタアナリシス | 系統的レビュー + 統計的統合 | 最高+定量統合 | 治療効果のプール推定 |
もっともゆるいのが文献レビュー(narrative review)で、教科書や総説論文でよく見かける形式です。網羅性や再現性の担保は甘くて、書き手の視点でまとめられます。
一方、もっとも厳密なのが系統的レビューです。決められた手順で論文を検索し、含める/含めないの基準を明示し、含めた研究のバイアスリスクまで評価します。医療の臨床ガイドラインや政策決定の根拠として使われる、いわば「学術の判例」のようなものですね。
スコーピングレビューは「地図を作る」ためのレビュー
スコーピングレビューは、系統的レビューと混同されやすいので少し丁寧に説明します。
JBIのManual for Evidence Synthesisによれば、スコーピングレビューの目的は「あるトピックに関するエビデンスがどれくらいの幅と深さで存在するかを明らかにすること」です。定義・概念・テーマを整理する場合や、系統的レビューの前段として実施することもあります。
系統的レビューとの決定的な違いは、含めた研究のバイアスリスク評価を行わないという点です。地図を作るのが目的なので、個々の研究の質を評価するステップは省く、というイメージですね。詳しくはSystematic and scoping reviews: A comparisonでも解説されています。
なぜ厳密なレビューにこだわるのか|労働コストという現実
系統的レビュー1本を作るコストは、じつは想像以上に大きいです。
- 中央値で$141,194、研究者労働1,139時間、およそ30週間相当(機関実施の場合)
- Cochrane review はプロトコルから本文まで中央値25.7ヶ月、71.9%のプロトコルしか本文完成に至らない
- タイトル・要旨のスクリーニングだけで平均33日
系統的レビューが「学術の判例」と呼べるほど信頼されるのは、こういう労力をかけているからです。だからこそAIで効率化する意義が大きい、とも言えますね。
自分の論文サーベイがどのレベルの厳密さを求められているかを、まず見極めるのがコツです。修士論文のイントロダクションなら文献レビューで十分ですが、臨床ガイドラインなら系統的レビューが必須になります。
3. 論文サーベイの3層構造|探索・精読・比較整理

ここからが本記事の中核です。論文サーベイをプロセスとして分解すると、必ず3つの層に分かれます。
3層モデル
| 層 | やること | 従来手法 | かかる時間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1. 探索層 | キーワード検索、引用チェイン、隣接領域スキャン | Google Scholar、Web of Science、PubMed | 数時間〜数日 |
| 2. 精読層 | PDFを読み、要点抽出、批判的評価 | 1本30分〜数時間 | 論文数×精読時間 |
| 3. 比較整理層 | 複数論文を並べ、共通点・差分を抽出、合成 | Excel表・付箋 | 数日〜数週間 |
たとえば修士論文で論文サーベイをするとき、多くの人は「まず100本くらい検索して、拾ったものを片っ端から読んで、Excelでメモを取る」というやり方をします。これを分解すると、探索・精読・比較整理の3層になっているわけです。
なぜ3層に分けると得か
3層に分けるメリットは、AIツールを選ぶときに混乱しないことです。
たとえば Elicit と Undermind を「どっちが優れているか」で比較すると、評価がおかしくなります。この2つはそもそも得意な層が違うからです。Elicit は比較整理層(列で並べて共通点抽出)が得意で、Undermind は探索層(引用チェインを深く辿る)が得意なんですね。
3層のフレームで見ると、「探索層はUndermind、精読層はSciSpace、比較整理層はElicit」というふうに役割分担ができます。
AIで効率化される層とされにくい層
3層のうち、AIで大きく効率化されるのは探索層と比較整理層です。
- 探索層:セマンティック検索が発達したので、キーワードのゆらぎに強く、隣接領域の論文もサジェストしてくれる
- 精読層:AIチャットがPDFの内容を要約してくれるが、最終的な批判的評価は人間が担う
- 比較整理層:Elicit のような「表形式で複数論文の項目を並べる」機能で作業時間が桁違いに縮む
精読層は、要約が得意なだけで「読んだつもり」になりやすいところが落とし穴です。ここは監督者としての読み手が必要、というのが実務家の共通見解になっています。
4. PRISMA・PICO・PCC|どのフレームワークをいつ使うか

論文サーベイを「厳密にやる」ときには、報告ガイドラインと質問フレームワークのセットが決まっています。ここで押さえておくと、実務で「PRISMA準拠でよろしく」と言われても慌てずに済みますね。
PRISMA 2020|系統的レビュー用の27項目チェックリスト
PRISMA(Preferred Reporting Items for Systematic reviews and Meta-Analyses)は、系統的レビューやメタアナリシスを報告するときの標準ガイドラインです。2020年に改訂された最新版がPRISMA 2020 statementで、次のような特徴があります。
- 27項目のチェックリストと、論文の絞り込みプロセスを図示するフロー図で構成
- 系統的レビューとメタアナリシスの報告に使う
- 文献レビュー(narrative review)は対象外だが、要素は取り入れられる
医療系の論文で「Figure 1: PRISMA flow diagram」と書かれた図を見たことがある方は多いと思います。「何本ヒットして、何本除外して、最終的に何本を分析対象にしたか」を追える図ですね。あの図が PRISMA の代表的な出力の一つです。詳しい書き方はPRISMA Guidelines: Step-by-Step Workflowにわかりやすくまとまっています。
PRISMA-ScR|スコーピングレビュー用の22項目
スコーピングレビュー用には、少しゆるめのPRISMA-ScRというガイドラインが用意されています。
- 22項目のチェックリスト(PRISMA 2020より5項目少ない)
- バイアスリスク評価の項目が入っていない
- 「地図を作る」ためのレビューに最適化されている
「地図を作るのが目的なら個々の研究の質評価は要らない」という思想が反映されています。
PICO と PCC|問いを立てるフレームワーク
論文サーベイでは、「何について調べるか」を明確に定義するのが最初の大仕事です。ここで使われる代表的なフレームワークが PICO と PCC です。
- 系統的レビュー → PICO(Population, Intervention, Comparison, Outcome)
- スコーピングレビュー → PCC(Population, Concept, Context)
PICO の例を挙げると、「糖尿病患者(P)に対して、SGLT2阻害薬(I)は、プラセボ(C)と比較して、心血管イベント発生率(O)を減らすか?」という形で問いを立てます。狭くて具体的です。
一方 PCC は、「高齢者(P)における健康アプリの使用(C)が、地域包括ケアの現場(Context)でどう活用されているか」といった、もう少し広い問いを立てます。介入や比較が明確でないテーマで使われますね。
Curtin大学のガイドによれば、スコーピングレビューは目的が違うので PICO には収まりにくく、PCC の方が実用的とされています。
実務での判断軸
用語をここまで整理したら、実務での判断軸はシンプルになります。
- 修士論文のイントロダクションなら文献レビューで十分。PRISMA準拠は不要
- 卒論・修論の主論として先行研究の地図を作るならスコーピングレビュー、PRISMA-ScR + PCC
- 臨床ガイドライン・政策決定・企業の技術戦略の根拠にするなら系統的レビュー、PRISMA 2020 + PICO
- 治療効果の定量統合まで踏み込むならメタアナリシス
「自分が今やっている論文サーベイはどのレベルの厳密さを求められているのか」を最初に見極めるのがコツです。
問いの立て方そのものについてはリサーチクエスチョンとは?AI調査で問いを設計する5ステップでも解説していますので、合わせて参考にしてみてください。
5. AI時代の論文サーベイ|3層×主要ツールのマッピングと落とし穴

いよいよAIツールの話です。ここは3層構造を軸に整理していきますね。
3層 × 主要AIツールのマッピング
| 層 | 得意なAIツール | 特徴 |
|---|---|---|
| 探索層 | Semantic Scholar、Undermind、Perplexity Academic Focus、Consensus | セマンティック検索、引用チェイン探索 |
| 精読層 | SciSpace Copilot、NotebookLM | PDF対話、要点抽出 |
| 比較整理層 | Elicit、Consensus Meter | 列で並べて共通点抽出、Yes/Noエビデンス合成 |
学術特化AIの位置づけ
学術特化AIには、実はほとんど共通の裏側があります。ElicitもConsensusもSciSpaceも、Semantic Scholar の214M+論文インデックスを裏側で使っているんです。Semantic Scholar は完全無料でAPIも開放されていて、学術AIのインフラ層と呼ばれています。
その上で、各ツールが違う切り口を提供している構図です。
- Elicit:列(column)ベースの構造化抽出、systematic review workflow、Pro $49/月で最大5,000論文をスクリーニング
- Consensus:Consensus Meter で複数論文の Yes/No/Possibly を視覚合成、Pro $15/月
- SciSpace:282M+論文、Copilot + Writer + Paraphraser のオールインワン
- Undermind:successive search(引用チェインを再帰的に辿る)、1検索10〜20分、Google Scholar比10倍の関連度と自社ベンチで報告
- Scite:Smart Citations で「支持/反証/言及」を区別、Personal $20/月
汎用側では、Perplexity の Academic Focus モードが Semantic Scholar 200M+論文に絞って検索してくれます。Gemini Deep Research + NotebookLM は日本語ネイティブに強く、Google エコシステム統合が便利ですね。
系統的レビューを本格的にやるなら、Cochrane が世界最大の系統的レビュー基盤として君臨しています。PRISMA準拠のスクリーニング支援には Covidence や Rayyan もよく使われます。
AIハルシネーションという最大の落とし穴
論文サーベイでAIを使うとき、絶対に押さえておくべきリスクがハルシネーション(幻覚)です。存在しない論文をあたかも実在するかのように引用してくる現象ですね。
数値で見ると、なかなかシビアです。
- 汎用チャットボットは論文引用の25〜40%が完全な捏造、実在するように見える引用の43%がエラーを含む
- 学術特化AI(Elicit、SciSpace 等)は捏造ゼロに近いが、「出版日エラー」「無関係な実在論文の混入」は残る
- 2026年のフロンティアモデルのハルシネーション率は3.1〜19.1%、Extended Thinking で半減
- ChatGPTを systematic review に使うと60〜65%の作業量削減、しかし場合によりハルシネーション率91%
つまり、汎用チャットボットに論文リストを丸投げするのは危険、というのが2026年時点の共通認識です。学術特化AIを使えばリスクは大きく減りますが、それでもゼロではありません。
対策として実務家がよくやるのは、次のような手順です。
- 学術特化AI(Elicit / Consensus / SciSpace 等)を使う
- 引用された論文のDOIまたはURLを必ず1件ずつ確認する
- 抽出された引用文が本当に論文にその通り書かれているか、PDF本文で検証する
- 系統的レビューでは必ず人間の第2レビュアーがダブルチェック
面倒に感じるかもしれませんが、これを怠ると「引用が捏造だった」という致命的なミスにつながります。
日本語論文カバレッジの壁
もうひとつ、日本の実務家がぶつかりやすい壁が日本語論文カバレッジです。
学術特化AI 5ツール(Elicit / Consensus / SciSpace / Undermind / Semantic Scholar)はすべて Semantic Scholar または CrossRef 系インデックスに依存しています。だから J-STAGE や CiNii のような日本語論文データベースのカバレッジは限定的なんですね。
汎用DR(Perplexity / Gemini)は Web 検索経由で J-STAGE の PDF を拾える可能性はありますが、系統的なカバレッジは保証されません。
日本語論文サーベイを完結させたいなら、以下のような併用が実務的になります。
- 英語論文:Elicit / Consensus / SciSpace 等の学術特化AI
- 日本語論文:CiNii Research / J-STAGE を別軸で直接検索
- 特許・企業レポート:別軸のツール(後述の Snorbe など)
「AIで論文サーベイ完結!」という宣伝文句を見たら、日本語論文のカバレッジまで含めて評価するようにしたいですね。
論文サーベイの手を動かす具体的な手順については、姉妹記事の論文サーベイのやり方|AI実演で見る文献レビュー効率化の型、また各ツールの詳しい比較は論文サーベイAIおすすめ7選でカバーしています。
6. 月曜日から使える論文サーベイの反復ループ

用語を整理し、3層構造でツールを選び、ハルシネーションと日本語カバレッジのリスクを押さえたら、あとは実務で回すだけです。最後に、月曜日から始められる論文サーベイの反復ループを提案してみます。
3層×AIツールで最小構成のフローを組む
まずは3層のそれぞれで1つずつツールを選び、フローを回してみるところからです。
- 探索層:Semantic Scholar または Consensus(無料枠あり)
- 精読層:SciSpace Copilot または NotebookLM(無料枠あり)
- 比較整理層:Elicit(無料枠あり、Pro $49/月)
このセットで、修士論文のイントロダクション相当の文献レビューなら1〜2週間で回せる規模感になります。
論文サーベイは1回で終わりではなく、反復して育てるのがコツです。テーマを深掘りするうちに、隣接領域や引用元の重要論文が見えてきます。そのたびに探索層で新しいクエリを叩き、精読層でPDF対話し、比較整理層で表に追加していく、という循環です。
日本語論文サーベイの現実解
英語論文だけで完結する分野なら上のセットで十分ですが、日本語論文をカバーする必要があるなら別軸を組み合わせます。
- CiNii Research で日本の学協会誌、学位論文、研究データを検索
- J-STAGE で日本の学術誌の全文検索
- 特許を含めるなら Google Patents や J-PlatPat
これらは AIツールと違ってセマンティック検索は弱いですが、和文誌のカバレッジは圧倒的です。
論文サーベイAIの今後のトレンド
2026年時点の論文サーベイAI界隈のトレンドを見ると、以下の3方向に進化しつつあります。
- AI Agent系の自律サーベイ:ChatGPT Deep Research、Gemini Deep Research、Perplexity Deep Research が、数百ソースを横断して数分〜数十分で報告書を出す。PRISMA準拠の自動出力を目指す研究も進行中
- ナレッジグラフによるサーベイ結果の蓄積:1回のサーベイで終わらせず、過去のサーベイと自動連結する仕組み。ナレッジグラフとは?GraphRAGでも解説しているように、意味関係を保った蓄積が次のステップになる
- ハルシネーション率の継続的な低下:Extended Thinking で半減、reasoning系モデルの登場で信頼性がじりじり上がっている
企業の R&D 企画では、論文サーベイだけでなく、特許・企業IR・業界レポートを同時に走査する必要が出てきます。ここが従来の学術特化AIの守備範囲を超える部分で、ホワイトスペースとは?AI調査で未開拓領域を見つける方法で扱った「未開拓領域探索」との接続点にもなります。
Snorbe|論文サーベイを継続的に育てる新しい選択肢
最後に、実際に月曜日から試せる新しい選択肢として Snorbe を紹介させてください。Deskrexが2026-05-26にクローズドα版一般提供を開始したAIリサーチエージェントです。
論文サーベイの3層で見ると、Snorbe は探索層と比較整理層をナレッジグラフで橋渡しする位置にいます。1回のサーベイで終わらず、調査結果を意味空間 + テキスト索引で蓄積して、次の調査で自動的に連結してくれるのが特徴です。特許、論文、企業IR、業界レポートを同じスレッドで走査できるので、R&D企画や技術戦略の現場で「論文サーベイと特許サーベイを同時に育てたい」というニーズに合います。
日本語ネイティブなので J-STAGE や CiNii を含む日本の一次情報も同じ枠で扱えますし、24時間自律稼働で複数AIモデルが協調してプランニングしてくれます。学術特化AIの Elicit や Consensus と直接競合するというより、論文サーベイの枠を「特許・企業・業界」まで広げてナレッジグラフで橋渡しする新しい選択肢と考えるとしっくり来るはずです。
論文サーベイは、AIで効率化できる作業と、人間が担うべき批判的評価が交錯する領域です。3層構造で整理して、それぞれの層で最適なツールを選び、ナレッジグラフで蓄積していく。このループを回してみると、サーベイが「大変な単発作業」から「継続的に育つ資産」に変わっていく感覚が得られるのではないでしょうか。
よくある質問

Q1. 論文サーベイと文献レビューは同じですか
実務ではほぼ同じ意味で使われますが、厳密には少し違います。日本語圏では「論文サーベイ」は先行研究をまとめる作業全般を指すことが多く、「文献レビュー(narrative review)」は書き手の視点でまとめた解説型のレビューを指します。学術的にはさらに、スコーピングレビュー(PCC + PRISMA-ScR)、系統的レビュー(PICO + PRISMA 2020)と厳密さのレベルが分かれます。
Q2. PRISMAはすべての論文サーベイで使いますか
いいえ、使いません。PRISMA 2020 は系統的レビューとメタアナリシスの報告基準です。修士論文のイントロダクション相当の文献レビューでは不要ですし、スコーピングレビューには PRISMA-ScR(22項目)という別のガイドラインが用意されています。「自分のサーベイがどのレベルの厳密さを求められているか」を最初に見極めるのが実務上のコツです。
Q3. AIツールに任せて大丈夫ですか。ハルシネーション対策は
汎用チャットボット(ChatGPT等)に論文リストを丸投げするのは危険です。論文引用の25〜40%が捏造という報告があります。学術特化AI(Elicit、Consensus、SciSpace 等)を使えばリスクは大きく減りますが、それでもゼロではありません。対策としては、引用された論文のDOI/URLを必ず1件ずつ確認する、系統的レビューでは第2レビュアーによるダブルチェックを入れる、というのが実務家の共通見解です。
Q4. Elicit・Consensus・SciSpaceのどれから始めればいいですか
論文サーベイの3層のどこを効率化したいかで選ぶのがおすすめです。列で並べて共通点を抽出したいならElicit(比較整理層)、複数論文のYes/Noエビデンスを合成したいならConsensus(探索+合成)、PDFと対話しながら執筆までやりたいならSciSpace(精読層+オールインワン)です。詳しい比較は論文サーベイAIおすすめ7選を参照してください。
Q5. 日本語論文もAIサーベイでカバーできますか
学術特化AI(Elicit / Consensus / SciSpace / Undermind / Semantic Scholar)は Semantic Scholar または CrossRef 系インデックスに依存しているため、J-STAGE / CiNii のカバレッジは限定的です。日本語論文まで含めた完全なサーベイをしたいなら、CiNii Research や J-STAGE を別軸で併用する、あるいは日本語ネイティブのAIリサーチエージェント(Snorbe など)を組み合わせるのが実務的です。
Q6. 修士論文のイントロダクションでも系統的レビューが必要ですか
ほぼ不要です。修士論文のイントロダクションで求められるのは、研究のオリジナリティを担保するための先行研究サーベイで、厳密さのレベルとしては文献レビュー(narrative review)で十分です。ただし、修論の主論として先行研究の全体像を体系的に整理する必要があるならスコーピングレビュー相当の厳密さが求められますし、医療系の卒論・修論で臨床実践に関わるテーマならPRISMA準拠の系統的レビューが求められることもあります。指導教員に「どのレベルの厳密さを求めているか」を早めに確認するのがおすすめです。
参考文献

- The PRISMA 2020 statement: an updated guideline for reporting systematic reviews – PubMed
- PRISMA 2020 statement – PMC
- PRISMA Guidelines: Step-by-Step Workflow + Examples – Paperguide
- Scoping Review vs Systematic Review – Paperguide
- Systematic and scoping reviews: A comparison and overview – PubMed
- JBI Manual for Evidence Synthesis – Scoping reviews compared to other types of review
- Scoping Reviews: A Complete Guide to PRISMA-ScR in 2026 – Mapped Research
- Formulate a specific question – Curtin University
- The significant cost of systematic reviews and meta-analyses – PMC6722281
- Lifecycles of Cochrane Systematic Reviews 2003–2024 – PMC12362767
- AI Citation Hallucinations: Hidden Threat to Scientific Publishing
- arXiv tightens policy on hallucinated references – SMU Library
- AI Hallucination Rate Benchmarks 2026 – Digital Applied
- Can generative AI reliably synthesise literature? – Springer Nature
- Elicit for Systematic Literature Reviews
- Undermind whitepaper (PDF)
- Semantic Scholar – Wikipedia
- サーベイ論文(レビュー論文)vs メタ解析論文 – インディ・パ
- 総説論文 – Wikipedia
- 先行研究調査の重要性 – 慶應SFC
- Deskrex Snorbe クローズドα版一般提供開始 – innovatopia.jp
調査手法について
こちらの記事はグラフAIリサーチプラットフォームのSnorbeを使って作られています。Snorbeは研究開発・新規事業向けの調査テーマに応じた幅広い項目のオートリサーチや、ナレッジグラフの構築、構造化レポートの生成ができるAIリサーチツールです。

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