生成AIで仕事が減らない理由|AIスキルを自動実行へつなぐ方法

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生成AIの実行系を示すアイキャッチ

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生成AIへ企画案を作らせ、出てきた案を読んだら競合を調べさせ、技術的に実現できるかを聞き、最後に評価表へまとめてもらいます。回答は速い。ところが、次の依頼を考えているのはずっと人間です。

AIスキルを作っても、この往復が自動では消えません。AIスキルは、指示、判断基準、参照資料、実行手順をまとめて繰り返し呼び出せるようにしたもので、単発の調査をそろえるには役立ちますが、回答のたびに人間が次の指示を出していれば、速くなったのは一工程だけです。

仕事を人の手から離すには、専門家が普段行っている「次は何を確かめるか」を小さな工程へ分け、各工程の結果を残します。仕事全体の実行順を管理する親Skillが、必要なSkillと結果を順番に参照すれば、人間がファイルを渡し直さなくても調査は続き、人間が戻るのは公開や送信など外へ影響する操作の直前だけです。

AIスキルが答えても、次の依頼を人間が作っている

チャットとワークフローで次の行動を選ぶ位置の違い

仮に、新しいサービス案を評価するAIスキルを作ったとします。入力は一度。会社の強みと市場の情報を渡すだけで候補案と評価理由が同じ形式で返り、毎回ゼロからプロンプトを書く必要はなくなりました。

ところが、担当者は結果を読んだ後で「競合はすでに同じサービスを出していないか」と聞き、次に「自社の技術で本当に作れるか」を調べさせ、根拠が弱ければ別の資料を探させます。最後に複数の回答を表へ移し、採用候補を選びます。

AIスキルは、最初の調査と出力形式をそろえるところまで役立っています。ただ、一件の検討を終えるまでに必要な工程は担当者がチャットで一つずつつないでいます。手は止まりません。

保存した指示と、自動で続く仕事は別物

AIスキルへ評価項目や出力形式を保存すると、同じ仕事を再現しやすくなります。しかし、スキルが一つの回答を返したところで終了するなら、次の工程は始まりません。

見分け方は簡単です。回答を受け取った直後に行っている操作、たとえば追加質問を考える、別の資料を添付する、前の結果をコピーする、別のSkillを呼ぶ、複数の結果をまとめる、といった動きを書き出し、毎回同じものがないかを探します。そこが自動化できる接続部分です。

目標は、人間の判断をすべて消すことではありません。人間が何度も行っている「次の工程を起動する作業」を減らし、検討結果を採用する場面へ時間を戻すことです。

専門家が次に確かめることをSkillへ入れる

チャット、ワークフロー、エージェントの介入位置

企画案を出すSkillの回答が一般論に見えるなら、文章を長くする前に、専門家がその回答を受け取った後に何を調べるかを見ます。経験者は案を眺めて終わらず、競合に対する違いを確かめ、技術的に成立するかを調べ、根拠が十分かを見てから評価するからです。

この確認順が人間の頭の中にしかなければ、AIは最初の案を返したところで止まり、利用者はその都度「競合も見て」「実現性も確認して」と依頼を足します。一般論から抜けるために必要なのは、もっと気の利いた言葉ではなく、経験者が次に行う検討です。

「何を出すか」だけでなく「次に何を見るか」を書く

仮想のサービス評価を一件終えるまでに、担当者が繰り返していた確認を並べると、次のような順番になります。

  1. 会社の資産と顧客の課題から、サービス仮説を作る。
  2. 国内外の競合と代替手段を調べ、既存案との差を確かめる。
  3. 必要な技術、データ、運用体制を確認し、実現を妨げる条件を探す。
  4. 各工程の根拠と未確認点をそろえ、評価基準に沿って候補を比べる。
  5. 採用理由と見送る理由をまとめ、人間の判断へ渡す。

この順番を、そのまま別の企画へ流用するわけではありません。実際の担当者が普段どの順で疑い、どこまで確かめたら次へ進むのかを取り出し、納得できない回答が出た日は、抽象的に「もっと深く」と指示する代わりに、追加で確認した対象と理由をSkillへ戻します。

こうしてSkillを育てると、短い呼び出しでも複数の検討を再現できるようになります。ただし、全部を一つの長い指示へ詰め込むと、どの工程で根拠が弱くなったか分かりにくくなります。そこで次に、確認作業を小さく分け、途中の答えを残します。

途中の答えを残し、親Skillが次の工程へつなぐ

実行系を守る開始条件、権限、停止条件、承認、ログ

工程は、分けただけでは足りません。人間が工程のたびにファイルを保存し、次のチャットへ添付していたら手間は残るので、各工程の出力先と次に読むものをあらかじめ決めます。

仮想の企画評価では、仮説作成の結果をhypothesis.mdへ、競合確認をcompetitors.mdへ、実現性と根拠をevidence.mdへ、比較評価をevaluation.mdへ残せます。ファイル名は業務に合わせて変えて構いませんが、各工程の入力、出力、次へ進む条件は明記します。

親Skillは目次と実行順を持つ

親Skillには、一件の仕事の流れを書きます。最初に仮説作成Skillを呼び、出力がそろったら競合確認Skillを呼びます。競合との差が見つからなければ仮説の作り直しへ戻し、差が確認できたら実現性の検討へ進め、最後に複数の中間出力をまとめて評価します。

MicrosoftのAgent Frameworkのワークフロー解説では、決まった順番を進める処理と、内容に応じて次の行動を選ぶ処理を組み合わせており、企画評価でも、調査の大枠は固定し、根拠不足のときにどの調査へ戻るかだけをAIに選ばせる設計ができます。

親Skillが必要なSkillと中間出力を参照すれば、利用者はcompetitors.mdをダウンロードして別のチャットへ投げ直す必要がありません。各工程は自分に必要な入力だけを読み、最後の統合工程が途中で残した結果をまとめて、採用候補と未確認点を出します。

中間出力があると、浅くなった場所へ戻れる

途中の答えを残すと長い処理を続けられるだけでなく、最終評価がおかしいときに、競合調査が弱いのか、実現性の根拠が足りないのかを切り分け、弱い工程だけをやり直せます。他の結果はそのまま使えます。

LangGraphの永続化の仕組みも、処理の途中状態をチェックポイントとして保存し、後から確認・再開できる構成を説明しており、実装方法は製品ごとに違っても「途中の状態を残して次へ進む」という考え方は共通しています。

ここまで組めると、AIスキルは単発の回答を呼び出す保存版プロンプトから、一件の検討を自動で続ける仕組みに変わります。詳しいファイル分割や参照粒度は別の設計課題であり、まずは人間が次の依頼を作っている場所を見つけ、その接続を親Skillへ移します。

自動でつないでも、外へ出す直前は人間が止める

仮想業務を一件の実行として組み立てる流れ

調査と評価を自動でつなげても、最終結果まで自動で公開したり、取引先へ送ったりする必要はなく、毎回の中継作業は親Skillへ移しながら、結果に責任を持つ判断は人間に残せます。

仮想の企画評価なら、資料の読み取り、競合の確認、実現性の調査、評価案の作成までは自動で進められます。親Skillが最後に採用候補、根拠、反対材料、未確認点を一つにまとめて止まるため、担当者は途中のチャットを追い直さず、その判断材料を読んで採否を決められます。

止める場所は、外部へ影響する操作の前に置く

公開、送信、発注、記録の確定など、取り消しにくい操作は人間の承認前に止め、AWS Step Functionsの人間による承認を待つ構成のように、処理の状態を保存したまま待機して承認後に再開します。

承認画面には、AIが実行しようとしている操作、その根拠、未確認点を表示します。「承認しますか」だけでは担当者が途中の調査を追い直すことになるため、最後の確認だけを人間に残すなら、その場で判断できる材料まで自動工程でそろえます。

安全のために、AIが読める資料と変更できる場所も分けます。OWASPのExcessive Agencyが指摘するのは、AIへ必要以上の機能や権限を与えるリスクであり、企画評価に必要なのが資料の読み取りと評価案の保存までなら、外部送信や元データの削除権限を与える理由はありません。

根拠が足りない、同じ失敗が続く、許可していない資料が必要になった、といった場合も自動で止め、実行記録には、どの工程を通り、どの資料を参照し、どこで止まったかを残します。開始条件、権限、停止条件、承認、ログは自動連結の目的ではなく、自動で進める範囲を守るブレーキです。

仕事が減ったかは、回答の出来より往復回数で測る

往復と判断の重さで実行系を測る試験運転

見るのは往復です。自動実行を組んだ後、最終回答の文章だけで効果を判断せず、一件の仕事が終わるまでに人間が何回呼び戻されたかを導入前後で比べます。

まず、チャットの履歴を開き、自動化する前の仕事を一件だけ記録します。質問した回数、渡したファイル、回答をコピーした先、内容を直した箇所、最後に下した判断を一行ずつ並べると、親Skillへ移す接続作業と、人間に残す判断を分ける基準ができます。

一工程だけ速くなっていないかを確かめる

導入後は、人間の入力回数、ファイルの受け渡し回数、手動転記、差し戻し、出力の修正量を同じ単位で測ります。AIの処理時間が短くても、担当者が五回呼び戻されているなら、仕事の進み方は同じです。

最終承認が一回残っていても、途中の四回の依頼と転記がなくなり、判断材料が一つにまとまっていれば、繰り返し作業は減っています。NISTのAIリスク管理の測定に関する資料が示すように測定項目は導入目的に合わせて決めるもので、今回の目的はAIの採点ではなく、人間が工程をつなぐ回数を減らすことです。

最初は、外部への書き込みをしない試験運転にします。親Skillが各工程を順番に呼び、中間出力を残し、最終評価案を作るところまで動かします。担当者は、途中で根拠が欠けた工程、不要だった確認、何度もやり直した工程を見て、Skillの順番と判断基準を直します。

生成AIで仕事が減らないと感じたとき、すぐに別のモデルへ替える必要はありません。回答後に自分が作っている次の依頼を一つ見つけ、その依頼が必要になる理由をSkillへ書き、結果を中間出力として残して親Skillから続けて呼びます。この接続を一つずつ移していけば、人間はチャットの中継役から離れ、最後の判断へ集中できるようになります。

よくある質問(FAQ)

Q1. AIスキルとは何ですか?

AIへの指示、判断基準、参照資料、実行手順をまとめ、繰り返し呼び出せるようにしたもので、指示を保存しただけのSkillから、複数の工程とツールを順番に動かすSkillまであります。

Q2. AIスキルを作っても仕事が減らないのはなぜですか?

一つの回答を返した後、人間が追加質問を考え、資料を渡し、別のSkillを呼び、結果を転記しているため、回答の作成が速くなっても、工程をつなぐ仕事は人間に残ります。

Q3. 専門家の判断をSkillへ入れるには、何から始めますか?

AIの回答を受け取った後に、専門家が追加で何を確認したかを記録し、「もっと深く調べる」ではなく、競合、実現性、根拠など、次に見た対象と進む条件を明文化します。

Q4. 中間出力を残すのはなぜですか?

各工程の根拠を次の工程が読み直せるうえ、最終結果が弱いときにどの工程からやり直すべきか分かるため、長い処理を一つの会話だけで進めるより、再開も検証もしやすくなります。

Q5. 親Skillは何をしますか?

仕事全体の実行順を持ち、必要なSkillと中間出力を順番に参照し、基本は固定した順番で進めながら、根拠不足など条件が変わる場面だけ戻る工程や追加調査を選びます。

Q6. 人間の確認はどこに残しますか?

公開、送信、発注、記録の確定など、外部へ影響し、取り消しにくい操作の前に残し、承認時には根拠、反対材料、未確認点を一緒に表示して、人間が判断できる状態にします。

調査手法について

こちらの記事はグラフAIリサーチプラットフォームのSnorbeを使って作られています。Snorbeは研究開発・新規事業向けの調査テーマに応じた幅広い項目のオートリサーチや、ナレッジグラフの構築、構造化レポートの生成ができるAIリサーチツールです。

Screenshot

調査したいテーマを入力するだけで、AIが深堀りすべき観点や広げるべき調査項目をレコメンドしながら、自動でリサーチを進めます。収集した情報はナレッジグラフとして蓄積され、未調査領域(ホワイトスペース)を可視化しながら調査の網羅性を高めていけます。

また、観点マトリクスを30秒・構造化レポートを10分で自動生成する機能があり、出典付きのレポートをMarkdown/PDF形式でエクスポートできます。調査の元データも保存されるため、ファクトチェックや社内共有も容易です。

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